なでしこジャパンは9日に、リオ五輪をかけたアジア最終予選で最後の試合となる、北朝鮮戦を行いました。
この試合は、佐々木監督体制の最後の試合ともなりましたね。
その感想を書いていきます。
北朝鮮戦ですが、「心底から失望した」というのが、私の感想です。
試合には勝利したが、それは重要ではない。
重要なのは、『この試合でなでしこジャパンは、どんなメッセージを発信したか』です。
私は3月8日の日記で、末尾にこう書きました。
「最後になりますが、北朝鮮戦では、大胆なスタメン起用をしてほしいです。
初戦と同じ顔ぶれが同じポジションで並んだら、私は激しく幻滅し、「何の反省もない」と呆れてしまうでしょう。
ここまでの4試合で良い動きをしてきた選手を、スタメン起用して下さい。
お願いします、佐々木監督。」
北朝鮮戦のスタメンは、どうだったか。
観戦した方ならよく知っているでしょうけど、『初戦のオーストラリア戦と、ほぼ同じメンバーが、同じポジションで出場した』のです。
この姿勢(スタメン起用)には、初戦で惨敗した事についての、何の反省もなかった。
最終予選の4試合で得てきた経験から、何も学んでいなかった。
はっきり言おう。
今のなでしこジャパンは、「活躍しようがしまいが重要な試合で起用される選手」と、「どんなにチームに貢献しても重要な試合で外される選手」に、分離されている。
「佐々木監督と、彼が寵愛する一部の選手」が特権階級として存在し、「一定のラインから上に行くのを許されないその他の選手たち」が一般階級として奉仕を強いられる。
この『階級制度』が、しばらく前に成立してしまった。
北朝鮮戦のスタメン構成を見た時、「なでしこジャパンは、佐々木監督と一部の選手により、私物化されてしまった」と思った。
なでしこジャパンを応援してきた私は、本当に腹が立ったし、悲しかった。
正直に告白するが、スタメンの顔ぶれを確認した瞬間に、TVを消そうかと思いましたよ。
なでしこファンに対する侮辱に思えて、心が苦しくなった。
試合が始まってからも、『佐々木監督とその取り巻き達が、監督退任のお別れ会をしている』ように見えて、楽しめなかった。
佐々木監督と宮間さんら選手の一部は、自分のためにサッカーをしている様に見えた。
「過去の栄光を回想しつつ、自分の名声を回復するために試合をしている」、私はそう感じた。
日本代表という神聖な場所が、一部の勢力に占拠されてしまった気がして、観戦していて深い怒りが沸いてきた。
良いサッカーはしていたけど、そこに真摯なものを感じられず、心が冷めてしまった。
もし佐々木監督の退任が決まっていなかったら、「こんな状態が続くなら、もうなでしこジャパンの試合は見ない」と宣言したでしょう。
それ位に、許せない事が起きたと感じました。
北朝鮮戦までの4試合を、振り返りましょう。
大事な初戦で負けて、2戦目の韓国戦では引き分け、3戦目も負けて、4戦目のベトナム戦では大勝した。
韓国戦は、1対1の引き分けだったけど、日本の失点は試合の最終盤で、GK福元がパンチングすべき場面で判断を誤った(キャッチにいった)のが原因です。
実質的には、勝利の内容だった。
それに対して、1戦目のオーストラリア戦と、3戦目の中国戦は、完敗でした。
「あと少しで勝てた」みたいな要素は、全くなかった。
この経緯を考えれば、第5戦では、2戦目と4戦目に出たメンバーを起用するのが当然でしょう?
良いプレイを見せたし、勝ち点を得てチームに貢献したのだから。
それなのに、惨敗した初戦のメンバーが、第5戦で起用された。
これを差別とか贔屓と呼ばずして、何と呼べばいいのか。
ボランチの川村さんは、第2戦と第4戦で出場し、チームに大きく貢献しました。
彼女がチームの守備を支えていたのは、玄人の人なら誰でも分かっていると思う。
CBの田中明日菜さんも、同じ2試合に出た。
特筆できる出来だったとは思わないけど、精一杯にチームに尽くしていた。
見ていて頑張りぶりが伝わってきた。
こうした選手を評価して、第5戦に使うことで、「なるほど、チームのために働いたら評価されるんだな」との安心感が生まれる。
活躍した選手を認めて、重要な試合に出すことで、チーム全体が強化されていく。
そんな当たり前の光景が、最近のなでしこジャパンには無いのです。
佐々木監督は、今予選が始まる前から、「初戦と同じメンバーを最終戦に出す」と決めていたんじゃないか。
そう思えてならない。
北朝鮮に勝利した後、試合に出た選手たちの異常な興奮ぶりに、私は心底から違和感を持ちましたよ。
「根本からおかしな事になっている」と、甚だしく不愉快でした。
北朝鮮は、「平均年齢が20歳のチーム」と紹介されていた。
見方によっては、U-23のチームとも言えるんじゃないか。
そんなチームに勝ったのが、それほど嬉しいのか。
すでに五輪出場を逃したチーム同士の消化試合で勝ったのが、それほど嬉しいのか。
北朝鮮に勝った選手たちが、韓国に引き分けた選手たちと、ベトナムに大勝した選手たちよりも、主役だというのか。
ここで、昨年の夏に行われた『東アジアカップ』を思い出してもらいたい。
この大会では、日本は「チャレンジなでしこ」と呼ばれる、若手ばかりを集めた急造チームで挑みました。
チャレンジなでしこは、A代表に初選出された選手も多く、チームとしての練習時間はほとんど無かった。
そんな中で、北朝鮮と韓国には敗れたが、中国には勝利した。
今大会での日本の成績は、北朝鮮には勝利、韓国には引き分け、中国には敗北です。
チャレンジなでしこと、成績に大差がない。
これを考えると、『有望な若手たちを軒並み落選させ、なでしこリーグであまり活躍をしていないベテランを多く今回のオリンピック最終予選に選出したこと』は、間違いだったのが明らかです。
結局のところ、今予選のなでしこジャパンは、『佐々木監督のおもちゃ』だったんですよ。
彼は代表を私物化し、私情で選手を選び、私情たっぷりに采配をとった。
彼が代表監督を退任してくれて、本当に良かったと思う。
私は北朝鮮戦を観ていて、心からそう感じました。
佐々木監督は、W杯の優勝など、すばらしい成績を挙げてくれました。
だから深く尊敬してきたが、今予選の行動を見て、その尊敬心は吹っ飛んでしまった。
彼が愛弟子に固執し、なでしこジャパンに害を与えまくるのを見て、「人間は大きな結果を出すと、その成功体験に執着してしまいがちなのだな。気を付けよう。」と肝に銘じました。