先月に、「Vリーグのファイナル・ラウンド」が終わり、優勝チームが決まりました。
その後には、バレーボール女子代表の「オリンピック最終予選に向けた合宿に参加するメンバー」も発表された。
今日と明日は、この2つについて、感想を書きます。
まずVリーグ女子のファイナル・ラウンドについて。
優勝チームは久光になりましたが、私の予想通り、昨年よりも混戦になりましたね。
今年は各チームが強化を進めた結果、実力が伯仲して、レギュラー・ラウンドもファイナル・ラウンドも面白かったです。
久光は、ファイナル・ラウンドの最初の数試合は連敗し、「もう駄目か」と私は思った。
ところが、『スタメンのセッターを替える』という荒療治をしたら、いきなり息を吹き返した。
長いことスタメン・セッターだった古藤を外し、ほとんど試合に出ていない中大路を起用したのです。
中大路さんは、たまに短い時間の出場をしてきたが、特筆するものを感じなかった。
むしろ、もう1人の控えセッター(栄)の方が、出場機会は多く中田監督も期待している風だった。
中大路さんをスタメンで使い始めた時、私は「司令塔のセッターをこんな重要な局面で替えるなんて、中田監督は焦って墓穴を掘ったな」と感じた。
「もう久光の今シーズンは終わった」と思った。
だが、この奇策が上手くいった。
中大路さんは、どんどんと調子を上げていき、良いトスを上げるようになった。
そして、チーム内に良い雰囲気が生まれて、勢いに乗り優勝してしまった。
私は以前から、「久光のエースである長岡と、古藤はあまり相性が良くない」と思ってました。
古藤の調子がいまいちの日に、打ちづらそうにしている長岡を何度も見てきたからです。
中大路と長岡は、これに比べるとかなり相性が良いですね。
フィーリングが合っている。
率直に言って、中大路さんはセッターとして凄い部分はない。
だが、バランスの良い選手で、何をやらせてもソツなくこなす。
中田監督は、現役時には天才セッターと呼ばれていたらしいが、自分が使うセッターには秀才タイプを求めているようですね。
久光に所属するセッター3人(古藤、中大路、栄)は、全員が地味で天才性はなく、平均点の高さでアピールする選手です。
私は、田代、宮下、白井という、天才的なものを感じさせるセッターが好きなので、中田さんとは感性が違いますね。
久光が優勝したのは、『ブロックが好調だった』のも大きい。
準決勝と決勝では、ブロック決定数で相手を大きく上回り、それが勝利の最大要因だったと思う。
この点で、私はブロッカーの岩坂さんを高く評価しました。
彼女は陰のMVPだと思います。
前回のバレーボールの記事でも書きましたが、岩坂さんは日本で屈指のブロック能力を持っています。
現在は、岩坂と荒木がブロック能力では日本の頂点にいる。
準決勝で敗れた東レは、テトリさんの負傷離脱が大きかったですね。
準決勝での戦いぶり(フルセットにもつれ込んだ)を見ると、彼女がいれば勝利した可能性は高い。
東レのセッターである田代は、テトリとのコンビネーションがとても良かった。
トスの組み立ての中心にテトリを置いている観すらあった。
そこが使えなくなったのは、とても痛かったです。
あとは、準決勝(対久光)では「高田の大不振」と「木村沙織のスタミナ切れ(試合途中での離脱)」が痛かった。
高田さんは、サーブでもブロックでも狙われて、相手に完全に封じ込まれていた。
はっきり言って、良い所は1つも無かった。
久光は凄い研究・対策をしていましたね。
あんなに抑え込まれる高田さんは、今まで見たことがない。
木村さんも、試合の途中で足をつり、敗因になっていた。
私は前から言い続けているのですが、木村さんは「スタミナが不足している」のです。
これが原因で大事な時に活躍できない選手なのですが、なぜか「日本のエース」と皆が言う。
「エースは大事な場面で決める選手なの! 木村は決めてないでしょ!」と、いつも違和感を持っています。
大事な場面で決めていた東レの選手は、「迫田さん」でした。
彼女がエースなんですよ。絶対に木村じゃない。
彼女は、いま調子が良いですね。
最近は、コースの打ち分けも出来ているし、力まずに打てている。
守備も上手くなったし、すごく成長しています。
今シーズンは、日立の躍進が印象的でした。
決勝では敗れましたが、守備力はリーグで一番だったと思う。
堅い守備の中心にいたのは、佐藤あり紗さん。
現在は、リーグでナンバーワンのリベロで、実際にベスト・リベロ賞を獲りましたね。
日立は、ファイナル・ラウンドに入る所で、スパイカーの渡邊さんが負傷離脱した。
で、このところ控えに甘んじていた佐々木さんが、スタメンに昇格した。
私の記事を読んでいる方だと分かっているはずですが、私は佐々木さんの才能を高く評価しています。
だから、「チャンスが来たじゃないか。今こそ飛翔するがよい、佐々木美麗よ!」と、大注目した。
彼女は、1月の記事で指摘しましたが、レシーブ技術に未熟さがある。
そこを心配していたが、松田監督は彼女になるべくレシーブをさせないように、ポジションを取らせていた。
これが効果を発揮して、彼女は攻撃面で活躍し、日立が決勝まで進むのに貢献した。
佐々木に守備をさせない特殊布陣を見た時、「松田監督、貴方なかなかやるよ」と感心しましたね。
彼は、昨年よりも格段に監督としての力量が上がりました。
日立では、セッターの佐藤美弥さんの頑張りも、今シーズンは目立ちました。
私は彼女を、最近まで全く評価していませんでした。
というのも、トスのフォームに安定感が無かったからです。
日立の佐藤美弥とNECの山口は、高評価されているセッターですが、私は違った。
佐藤さんは筋力不足、山口さんは体重オーバーで、トスが頻繁に乱れていたからです。
正直に告白しますが、昨シーズンからVリーグを観始めたのですが、この2人を初めて見た時、「これはプロの身体つきじゃない、ひどいな。さっさと引退すればいいのに。」とまで思いました。
佐藤さんのフニャフニャにした不安的な動きと、山口さんのたっぷりしたお腹には、不満がいっぱいで、怒りまで感じていた。
あれから1年半が経ち、2人はかなり身体つきが変わった。
アスリートの身体になってきている。
私は、「ふうっ、これなら一応アスリートと呼べる」と、一安心しています。
話は変わりますが、ファイナル・ラウンドを観戦していて、『スタメンになっていないが、素晴らしい才能を持っている選手』を、2人発見しました。
東レの「峯村さん」と久光の「野本さん」は、素晴らしい身体能力を持っていますね。
この2人と、上記した佐々木さんは、高いスパイク能力を持っていると思う。
3人ともレシーブ技術に未熟さはあるが、下位のチームに移籍すれば、エース級の活躍を見せても不思議ではないと考えています。
2部に降格してしまいましたが、上尾はなかなか良いチームです。
ここに峯村らが加入したら、面白いチームになると思うのですが。
ファイナル・ラウンドでは、『トヨタ車体』が前半戦で上位チームを食う波乱を起こしましたよね。
私は上の方でリンクを貼った1月の記事で、「トヨタ車体は旋風を巻き起こす可能性がある」と書きました。
この予想が当たり、最下位でファイナル・ラウンドに進んだのに、開幕から3連勝をしました(久光と日立に勝ってしまった)。
その後に失速したのは残念でしたね。
トヨタ車体は、エースのポリーナさんの活躍が凄かった。
身体を壊すのではないかと思うほどに、スパイクを打ちまくっていました。
セッターの藤田さんは、トスの配球で行き詰ると、ポリーナ頼みになってしまう。
全部ポリーナに上げてしまう。
あれは良くない。
チームの総合力を上げていけないし、観ている私たちも「ポリーナは怪我をするんじゃないか」と心配になる。
エースに任せたい気持ちは分かるのですが、多くの選手にトスを分散させる工夫が必要ですよ。
Vリーグの感想については、これ位にしておきます。
後半では、発表された日本代表メンバーについて、感想を述べます。