女子バレーボールのオリンピック最終予選
後半3試合の感想
(2016.5.31.)

女子バレーボールは、先日にオリンピック出場をかけた最終予選が終了しました。

日本は、5勝2敗で3位となり、無事にオリンピックのチケットを獲得しましたね。

とりあえず、おめでとうございます。

選手の実力から考えて、出場できるのは当然なのですが、それでもやはり嬉しい。

男子は出場できるか微妙なので(いま最終予選で1勝1敗となっている)、女子にかけられた期待は大きいものがある。

最終予選のうち、前半の4試合については、すでに記事にしています

今日は、女子代表の後半戦3試合での闘いぶりの、感想を書きます。

第5戦となった対ドミニカは、楽勝でしたね。

最近の女子代表は、格下のチームを相手に取りこぼしをする事が、無くなりました。

2年くらい前までは、世界ランキングで15位以下のチームを相手にしても、負ける時があった。

観ている側が言葉を失うくらいの、意味不明の情けない試合を展開して、負けてしまう時があった。

これを克服できたのは、大きいです。

とはいえ、今大会の対タイでは、危うく取りこぼす所だった。

あれは、本当に心臓に悪い試合でしたねー。

第6戦の対イタリアは、日本は負けてしまった。

相手は強いチームだけど、勝てたと思うよ。

残念だったのは、日本が2セットを取った時点で、(勝ち点とセット数の関係で)オリンピック出場が決まり、そこで日本は満足してしまった事です。

まだ試合中なのに、放送局や会場のファンが「オリンピック出場を決めた!!!」と騒ぎ出し、それに選手達も引きずられて、覇気のないプレイを始めた。

第4セットを日本が取ったことで、流れは日本に来ていたと思うんですよ。

だから浮かれずに試合をすれば、その勢いのまま第5セットを取れていたはず。

それなのに、お祝いモードが会場全体に漂い、日本は集中を欠いたプレイが続いて、あっさりと第5セットを失った。

私は、非常に苦々しく観ていました。

「お前ら、どこを目指しているんだ? 金メダルじゃないのか?

 オリンピック出場を決めたくらいで、そこまで喜ぶなんて、
 志が低すぎるぞ。」

私は、こう思う自分を、止めることは出来なかった。

皆が大喜びしている中、「違うんじゃないか」と首をひねり、「人々がこうした意識だと、金メダルを獲るのは厳しい」と思ったし、やや悲しい気持ちになった。

本心では、会場にいたバレーボール・ファンの多くは、今の女子代表の力を信じていないのだと思う。

もし私のように深く信じていたら、あそこまで浮かれずに、第5セットを取りにいくように選手たちを鼓舞すると思う。

オリンピック出場決定を祝うのは、試合が終わってからでいいじゃないですか。

このイタリア戦では、木村さんのやる気が漲っていたのが、印象的でした。

木村さんって、時々えらくやる気を出すんですよねー。

7~8試合に1度くらいかな、別人のような活躍を見せて、その度に解説者は「木村がついに覚醒した」とか「かつての木村に戻った」とか絶賛する。

でも、その充実したプレイは長く続かず、たいていは次の試合で元に戻ってしまう。

この現象に対して、私は以前に「木村さんはスタミナがない」と指摘した事もある。

木村さんが爆発する姿を見て、アナウンサーと解説者は「木村は復活した」みたいに語っていました。

だけど私は、「次の試合でも続けられるかな?」と冷静に眺めていた。

そうしたところ、やはり次のオランダ戦では元に戻りました。

私は、「日本のエースは長岡」と主張していますが、それは長岡さんには安定感があるからです。

彼女はどの試合でも、出場時間を長く与えれば、20点くらいは取ってくれます。
スパイク決定率は、どれほど相手にマークされても、自らの調子が悪い時でも、35%は確保してくれる。

木村さんって、Vリーグでも調子の波が激しいんですよ。

そういう選手を、なぜ皆がエースと呼ぶのか、ぜんぜん理解できません。

さて、第7戦の対オランダ。

この試合は、ある意味では今大会の7試合で、最も興味深いものでした。

というのは、セッターのスタメンとして田代佳奈美が選ばれ、彼女は最後までトスを上げ続けて、見事に勝利に導いたからです。

私は、昨年11月の日記で、「田代は凄いセッターだ。これから2年以内に代表入りし、3年以内に代表で正セッターとなる」と書いています。

これからの日本代表の中心になる選手だと思っています。

それ位に彼女の能力を高く評価しているが、世間的には知名度ゼロです。

そして大多数の人は、「宮下が日本のセッターをこれから長くつとめる」と考えている様なので、その空気に呑まれてしまわないか心配していた。

「チャンスが来たら、ものにしてくれ。俺は信じているぞ、田代。」と、尋常でない感情移入をしながら、彼女が出場するのを待っていた。

ついにチャンスをもらい、長時間の出場をする田代。

そして、宮下をはるかに上回るトス・ワークを見せて、強豪オランダに勝利してみせた。

嬉しかったよー。

試合後には、感無量といえるほどの、充実した満足した気分でした。

この試合では、田代さんはミドル・ブロッカーのクイック攻撃を、とても上手く織り交ぜていた。

これは、彼女の特徴の1つです。

田代が上手く使うので、島村や山口は活き活きとプレイしていましたね。

特に島村は、今大会でベストの出来だった。

島村春世がスパイクを決めまくるのを観ながら、「そう、これっ! これが観たかったんだよ! 春世ちゃんなら、これ位は出来るんだから!」と、笑顔になった。

私が観たいバレーボールは、こういうバランス良くトスが散らされるものなのです。

宮下のような、ウイングスパイカー頼みのバレーは、お洒落じゃないし、知的でない。

田代だと、観客は「次はどこに上げるんだ?」とワクワクできる。

田代さんの凄い点は他にもあり、強心臓なのも魅力です。

オランダ戦で、すごく緊迫した場面でも、笑顔を見せていたでしょう。

あれが凄いんだよ。正直、私には絶対に真似できないです。

緊迫した場面で木村が見せる自信なさげな苦笑いと違い、田代の笑顔には自信とか余裕がある。

代表戦で初めての長時間の出場なのに、あそこまで余裕を見せるのは、大物としか言いようがない。

私は、この試合での田代さんのプレイを見て、「やはり宮下よりも、トスの組み立てもトスの精度でも上だ。オリンピック本番では、田代を正セッターにする事も考えた方がいい。」と感じました。

正直、トスの組み立てにおいて、両者には比べものにならない位の差がある。

田代さんで唯一の不安要素は、『ミドルブロッカーが止められた時に、行き詰ることがある』点ですね。

彼女は、ミドルブロッカーを上手く使える人ですが、そこが止められまくると失速してしまう事があるんですよ。

でも、今の代表には山口と島村という素晴らしいスパイクを打てる選手がいるので、たぶん行き詰ることは無いと思う。

オランダ戦では、丸山さんと鍋谷さんも長い出場時間をもらい、2人共に結果を出しました。

今の女子代表の層の厚さを、証明してくれた。

丸山さんの活躍については、何の驚きもありません。

彼女が素晴らしいリベロだというのは、よく知っていますから。

レシーブ能力に関しては、佐藤と座安に劣らないレベルにあります。

解説者の大林さんが、「読みが良い」と言ってましたが、その通りで、そこが彼女の特徴です。

Vリーグの観戦において、丸山さんのプレイには驚くことがある。

「えっ、そこに居るんだ?」とか「このボールを取っちゃうの!」と、あり得ないと思えるポジショニングをしていてボールを拾うことがあるのです。

この点に関しては感服しており、調子の良い時の神がかったプレイには何度も舌を巻いてきた。

私が何故、彼女を佐藤と座安よりも下位に置くかというと、2段トスの精度がいまいちだし、味方へのコーチングをほとんどしないからです。

リベロは、そういう面も重要ですから。

丸山さんは、もともと無口なタイプなのでしょうが、試合中にほとんど声を出さない。

彼女らしいとは思うが、そこが私が不満に思っている所です。

やはりリベロって、味方へのコーチングが大切だよね。
座安を見ていれば、それがよく分かる。

丸山さんに積極性がないのは、所属する岡山シーガルズの河本監督が暴君タイプで、選手に伸び伸びプレイさせないのが大きい。

監督が独裁者として振舞うのは、今時ほとんど見られないので、河本監督はVリーグの名物になっている。

そういう前時代的な監督が、リーグに1人だけ居るぶんには面白いし、彼を責める気はない。

でも、所属している丸山、宮下、山口を見ると、全員が大人しすぎる。

山口さんなんて、ああ見えて実はリーダーシップを発揮できる人だと思うんですよ。

だけど、その才能を開花させる環境が、シーガルズには無い。

鍋谷さんに話題を移しますが、彼女の活躍は意外でした。

なぜなら、今シーズンのVリーグで、目立つプレイは何もなかったからです。

オランダ戦では、スパイクも良かったですが、レシーブでの頑張りが素晴らしかった。

あれを常時できれば、古賀なんて相手じゃない。

まだ書きたい事があります。

でも長文になっているので、今日はここまでにし、明日に残りを書くことにします。


日記 2016年4~6月 目次に戻る