6月7日に、民進党・共産党・社民党・生活の党の4党は、政策についての協定を結びました。
「選挙で協力するにあたって、合意できる政策をできる限り作ろう」と会談してきた成果が、かなり充実した形でまとまりました。
私は、昨年11月の日記で、「野党たちは話し合いを重ねて、合意できる政策を見つけないといけない」と書きました。
当時は、大手メディアの多くは「民主党と共産党は政策がぜんぜん違うので、話し合っても前進はないだろう」と語ってました。
あれから半年ほど経ち、野党は選挙協力を進めて、今度の参院選では1人区のすべてで統一候補を立てる。
そして政策についても、共通の政策を打ち出す所まできた。
本当に嬉しさで一杯ですよ。
同時に、「共通政策の実現は不可能と言っていた人々は、いかに見識がなかったか」と思う。
この政策協定は、市民連合の後押しが大きかったそうです。
市民連合とは、「立憲デモクラシーの会」「安全保障関連法に反対する学者の会」「安保関連法の反対するママの会」「シールズ」「戦争させない・9条壊すな!委員会」を母体に発足したものです。
冷静に考えると、市民団体たちが政党の仲介をして、政策合意にまで持っていくなんて、日本史上で初めてだと思う。
歴史的な事件ですよ。
もっと大きく報じられていいと思います。
野党4党は、どんな政策合意をしたのか。
東京新聞2016年6月8日の1面から、抜粋しましょう。
野党4党(民進・共産・社民・生活)は参院選に向けて、市民連合との間で、政策協定を実現した。
野党4党の共通政策となる。
協定では、外交や憲法観だけでなく経済や税制に関しても、安倍政権と対照的な方針を列挙した。
これにより、参院選の争点が明確になった。
※以下に合意した政策を列記します。
①憲法
改憲(緊急事態条項の追加など)の阻止
②安保法制
新安保法の廃止、集団的自衛権の行使の撤回
③普天間基地の移設問題
沖縄の民意を無視せず、辺野古の新基地建設は中止
④教育
高校の完全無償化、給付制の奨学金の導入、奨学金債務の減免、保育士の待遇を大幅に改善
⑤原発
原発に依存せず、地域分散型のエネルギー政策を推進
⑥TPP
TPPの合意に反対
⑦男女の平等化
選択的な夫婦別姓の実現、国会・地方議員で男女同数を目指す
⑧税制
法人税の減税をやめて、法人や資産(富裕層)に公正な負担を求める
(東京新聞からの抜粋はここまで)
どうでしょうか。
多くの人に頷くことの出来る政策が、並んでいると思います。
逆に言うと、与党の安倍・自公政権は民意とかけ離れた政策を連発してきました。
今回の野党たちの選挙協力と政策合意を分析すると、『民進党は政策面で譲歩し、共産党は立候補者を減らす事で譲歩した』と言えるのではないでしょうか。
この政策は、民主的なすばらしいものと私は思いますが、民進党の保守派には反対の人もいると思われます。
共産党は真面目だし、裏切ることは想定できません。
しかし民進党は、一枚岩ではないので、選挙後に「この政策はやめた」と言い出す可能性はゼロではないと思う。
民進党が誠実に協定を履行していけば、この野党連携は長く続けていけると考えます。
選挙協力では、『市民団体の応援を受ける、無所属の統一候補がかなり居ること』が、気になっています。
この人達は、当選した後はどうするのだろうか。
ずっと無所属なのか、やがて親和性のある政党に加わるのか。
この疑問を持つ方は多いと思うので、きちんと回答を出せるようにする必要があります。
ずっと無所属というのが、出しやすい答えだと思うけど、無所属だと活動できる事が限られてくるからね。
他に私が注目したのは、香川県で『共産党から出馬する人を、統一候補にしたこと』です。
「やった方が良い」とずっと思っていたので、嬉しかったですよ。
共産党は、各地にいる自党の立候補者たちを説得して、出馬を断念させて民進党らに協力しました。
それに報いるために、「最低でも1つの1人区で、共産党の人を統一候補にしたほうがいい」と思っていました。
そういう誠意を見せないと、協力体制は続いていきません。
残念なのは、本日の新聞に出ていますが、この香川県の統一候補に対して、民進党・香川県連が推薦や支持を見送ったことです。
せっかく協力体制を築いたのに、それを後退させる行為です。
民進党の後ろ向きな態度を見ていると、連合(日本労働組合総連合会)が影響しているんですよ。
この民進党の主たる支持組織は、ろくな事をしない。
自組織のことしか考えないし、労働者のために活動していると思えない。
私は、連合という組織に、かなり呆れています。
労働組合は必要だけど、そのトップにいる連合には幻滅しかない。
労働者のために闘っていないよね、どう見ても。
各労働組合は、連合から脱退して、新しい連合体を築いたほうがいいと思います。
自民党+公明党は、いつものように野党の連携を「野合だ」と批判しています。
だが、ここまで政策の合意を進めてきたし、もう野合の状態ではないです。
はっきり言って、自民党と公明党の方が、憲法観1つを取っても一致していないと思う。
自民党の改憲案と、公明党の主張する加憲は、内容が全く違う。
自公は、もう野党の連携・協力を野合とは呼べない。
もしそれをすれば、安倍晋三さんの言葉使いで説明するなら、「ブーメランのように自分に返ってくる」ことになります。
日本の政治は、市民が今までよりも参加する、『新しいもの』になりつつあります。
多くの人が立ち上がって意見を公の場で語ったことにより、政治が身近なものになってきました。
日本の夜明けは近いぜよ。