(『これならわかるベトナムの歴史』から抜粋)
『クオックグー』は、ベトナム独特のローマ字で表記する文字である。
17世紀にベトナムにやってきた、キリスト教の宣教師たちが創った。
ベトナムは、ずっと中国文化の影響を受けてきたために、公文書は漢字で、科挙の試験も漢文で行われていた。
13世紀になると、漢字を基にした『チュノム』が少しづつ使われるようになった。
要するに、ベトナム人にとってベトナム語は、「文字の無い、話し言葉」だった。
宣教師たちは、普通の人々が読み書きできる『クオックグー』を創った。
これは、画期的な事だった。
フランスはベトナムを植民地にすると、中国式の科挙をやめさせて、文字もヨーロッパ式のローマ字にしようとした。
クオックグーは徐々に普及して、1945年のベトナム独立後に本格的に普及した。
『アオザイ(長い衣服の意)』は、ベトナムでは男女を問わず着用する礼服だった。
グエン朝の時代に、中国の役人の服を簡略化したのが原型である。
1930年代に、ハノイの美術家たちがカット方法を改良して、現在のシルエットになった。
ウエストの高い位置まで切れ込んだ両脇のスリットが特徴である。
アオザイは、現在は女性専用の服となり、特別の日に着る衣装となっている。
(2014.3.14.)