クウェートの地理

(『フセインの挑戦』小山茂樹著から抜粋)

クウェートは、ペルシア湾の北西に位置し、イラクに食い込むように存在している国である。

北と西ではイラクと、南ではサウジアラビアと接している。

国土面積は17818平方kmで、岩手県とほぼ等しい大きさで、レバノンの2倍にあたる。

かつてはサウジアラビアとの間に、5700平方kmの中立地帯が存在したが、1966年5月に両国で折半した。

したがって、上記の面積は旧中立地帯を含む。

ペルシア湾に面する海岸線は、100kmにも及び、中でもクウェート湾は水深の大きい天然の良港である。

クウェートは、国土のほとんどは砂漠で、「砂漠の国」である。

西部の国境近くに丘陵があるものの、それを除けば平坦そのもの。

クウェートという地名の起源は、Kut(クート)から来たと言われている。

クウェートは、Kutの指小語だという。

指小語とは難しいが、例えば葉巻のシガーを小さく縮めたものがシガレットだが、これと同じような用法だという。

Kutは「要塞」を意味し、クウェートは「小さい要塞」となる。

イスラム百科事典によると、16世紀後半にこの地にポルトガルの小さな要塞があった事に起因しているという。

私は、1968年12月にクウェートに行った。

飛行機がクウェート空港に近づくと、夜空を真っ赤に染める炎が浮かび上がってきた。

油田から分離された排ガスを燃焼している炎である。

今日では、この分離ガスは利用されるようになり、こうした光景はあまり見られなくなった。

しかし当時は、夜空を天空まで焦がすかと思われるほどだった。

クウェートに着き車に乗ると、緑のかけらもない赤茶褐色の砂漠が続き、吹き寄せられた砂が随所で道路を半ば埋めていた。

車道の左右にはテントが点在し、羊やラクダの群れが見えた。

クウェートの真夏は、日陰でも41~43℃になり、炎天下では50℃を超える事もある。

冬はけっこう寒く、1月は最も寒くて日陰では15~18℃止まりで、内陸部ではマイナスになる事もある。

冬は想像以上に快適である。

雨は、主として10~3月に降り、年間130~180ミリである。

(2014年8月19日に作成)


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