(『シリアとレバノン』小山茂樹著から抜粋)
1958年に、レバノンで内乱が起きた。
当時のレバノンはナセル主義の高揚があり、隣国シリアは2月にエジプトと合併しており、7月にはイラクで王制が打倒されていた。
ナセル主義(エジプトのナセル大統領が行う、欧米の支配下から抜けようとする運動)が盛り上がる中で、レバノンのシャムーン大統領(キリスト教マロン派)は、大統領が再選できるように憲法改定をしようとした。
イスラム教徒は反発し、キリスト教徒と各地で衝突した。
シャムーンは、アメリカに軍事支援を依頼し、アメリカ兵1万人がレバノンに上陸した。
結局、シャムーンが辞任して、ファウド・シェハービ将軍が大統領になり、事態は収束した。
この内乱は、1975年からの内戦を予告するものだったが、極めて短期間で終息したため人々の記憶に留まらなかった。
(2016年11月10日に作成)