(『タックスヘイブンの闇』から抜粋)
世界の貿易取引の半分以上が、タックスヘイブンを経由している。
すべての銀行資産の半分以上と、多国籍企業の海外投資の3分の1が、オフショア経由で送金されている。
国際的な銀行業務や債券発行業務の85%が、ユーロダラー市場(オフショア・ゾーン)で行われている。
アメリカの会計検査院は2008年に、「アメリカの大手100社のうち、83社がタックスヘイブンに子会社を持っている」と報告した。
別の調査では、「ヨーロッパの大手100社のうち、99社がタックスヘイブンに子会社を持っていること」が明らかになった。
どの国でも、こうした子会社を最も多く持っているのは「銀行」である。
タックスヘイブンでは、税率がきわめて低く、人々に税金逃れをさせている。
しかしタックスヘイブンは、租税回避だけを提供しているわけではない。
「守秘性」「規制の回避」「国家の法律から自由になること」も提供している。
要は、納税の義務と法に従う義務からの、逃げ場なのだ。
タックスヘイブンの特徴に、地元経済との切り離しがある。
免税は非居住者に対して提供され、居住者にはたっぷり課税される場合もある。
タックスヘイブンを見分ける方法の1つは、「そこの金融サービス業が、地元経済に比べて著しく大きいかどうか」である。
IMFはこの方法を使って、2007年に「イギリスはタックスヘイブンだ」と判定した。
これは正しい判定である。
(※イギリスの事については、他のページで沢山でてきます)
タックスヘイブンの最も重要な特徴は、『現地の政治が金融サービス業に乗っ取られていること』である。
このため民主政治はほとんどなく、きわめて抑圧的な場所である事が多い。
そして、犯罪や腐敗を見て見ぬふりをする事が、ベストなビジネス手法とされている。
世界銀行は1996年に、「腐敗(汚職)というガンに対処する必要がある」と認めた。
1999年には、OECDが『外国公務員の賄賂の防止条約』を発効した。
2003年には国連が、『腐敗の防止条約』を採択した。
1993年にベルリンで設立されたトランスペアレンシー・インターナショナル(TI)は、有名な『腐敗の認識指数(CPI)』を発表している。
だがCPIでは、イギリスやスイスやアメリカは、クリーンな国になっている。
このランキングでは、アフリカ諸国が最も腐敗した国々になっている。
2009年11月に、タックス・ジャスティス・ネットワークは、『金融の守秘性の指数』という新しい指標を発表した。
この指標では、従来はクリーンとされていた国のいくつかは、透明度が低い(クリーンではない)と評価された。
守秘性が高い(クリーンではない)国のランキングは、
1位アメリカ 2位ルクセンブルク 3位スイス 4位ケイマン諸島 5位イギリス となっている。
(2014.3.8.に作成)