規制を逃れると、銀行はそれだけで利益が上がる

(『タックスヘイブンの闇』から抜粋)

「規制のない金融市場が、なぜ並外れた利益を上げるのか」は、簡単に理解できる。

一般の銀行は、受け入れる預金額に応じて、準備金を保有する義務がある。

しかし規制のない市場では、準備金の規定は無い。
銀行は預金のすべてを貸し付けられるので、利益が何倍にもなる。

重要な点は、「より良い商品やサービスを生み出したわけでも、効率化をしたわけでもない」ことである。

単に規制を逃れただけで、利益が数倍になるのだ。

こうした銀行利益(グローバルに展開して、規制の網を抜けて得た利益)は、富裕層やグローバル企業がマネーの提供者なので、一般の人には利益が還元されない。

銀行や一部の人々が、他の人々の犠牲の上に、ただで利益を得ているのだ。

政府が銀行に準備金の保有を義務づけているのは、金融恐慌に備えるためである。

規制から逃れたマネーは、いざという時に大きな恐慌を起こす。

そして最後にツケを払うのは、一般の納税者である。

ケインズが生きていたら、これをどう思っただろうか。

彼は、『諸国の協力に基づく国際秩序』を実現するために戦っていた。

彼は、「隣人に勝つために、規制を緩和する」という考えを嫌っていた。

銀行は、なぜオフショア預金を歓迎するのか。

それは、預金者が死んだり、引き出すのにリスクが高まったりして、預金が自分のものになる事が多いからである。

ナチスが残したスイスでの隠し財産を調べたヴォルカー委員会は、「死者の口座からカネを奪うのは、準備金を蓄える通常の方法だ」とのスイス銀行の内部メモを発見しています。

オフショア預金には、もう1つの旨みがある。

預金者たちは、守秘性と引き換えに、低金利を受け入れるのだ。

(2014.3.13.)


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