アメリカ圏のタックスヘイブン④
ペーパー会社を受け入れる各州

(『タックスヘイブンの闇』から抜粋)

ネバダ州とワイオミング州は、金融情報の透明度が低く、無記名の株式を認めているし、単なる名義人を据えて企業の本当の所有者を隠すやり方にも手ぬるい。

ネバダ州では、租税情報や法人設立情報を、連邦政府と共有していない。

ネバダ州の企業の税申告について、内国歳入庁には知るすべはない。

事業活動の場所を報告することも義務づけられていない。

アーカンソー州やオクラホマ州やオレゴン州も、東欧やロシアの脱税に、日常的に利用されている。

テキサス州とフロリダ州は、中南米からのダーティ・マネーを受け入れている。

悪名高い武器商人のヴィクトル・ブートは、タリバンなどの組織に武器を売るグローバル・ビジネスを、テキサス州・フロリダ州・デラウェア州のペーパー会社を通じて行っていた。

1988年のニューヨーク・タイムズ紙は、デラウェア州のある高官の活動を伝えた。

この高官は各国を回り、次の宣伝をした

「デラウェア州では、ペーパー会社をつくるのは容易です。

 取締役などの名前は記載しなくていいし、あなた自身の名前や
 住所も必要ありません。

 デラウェアの代理人の名前と住所を使って、24時間以内に
 登記を完了できます。」

こうした会社は、本当の所有者が分からないようになっている。

取締役はプロの名義貸し人で、会社への問い合わせは弁護士に転送され、弁護士は本当の所有者に連絡をする。

当局が調べに来ても、弁護士は守秘義務を盾にとって、情報を明かさない。

アメリカ政府の調査官は、こう語る。

「守秘法域が、弁護士の事務所にある。

 それに、証券会社や会計士も関わっているんだ。」

アメリカの州は、ペーパー会社の申請料(数百ドル)を手に入れて、犯罪に手を貸している。

ワイオミング州のウェブサイトでは、次のように宣伝している。

「わが州での法人設立では、所得税の非課税、匿名での所有、
 無記名株式など、タックスヘイブンの利点をアメリカ国内で
 享受できます。

 脱税のための会社を、69ドルの申請料を払うだけで、
 明日の朝にも持てます。」

こうした州では、株式は即座に内密に譲渡できて、告知する必要もない。

アメリカで会社法を改正しようとする動きがあると、各州や法曹協会が激しく反対をする。

いくつかの州では、特定タイプの法人には州税を免除している。

そこで企業たちは、商標や特許などを、これらの州に移している。

例えばワールドコムは、2002年に倒産するまでに、200億ドル近くをデラウェア州の会社に移した。

(2015.2.2.)


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