多国籍企業の脱税の手口
二重非課税

(『タックスヘイブンの闇』から抜粋)

「二重課税」という問題がある。

例えば、ドイツの企業がタンザニアに投資したとする。

投資で得た利益に対して、タンザニアは課税できない。
なぜなら、「二重課税の防止条約」を結んでいるからだ。

この条約の下では、タンザニアは課税しない事に同意する。

そうしなければ、ドイツの企業は(課税しない)他国に移ってしまう。

ここには、明らかに国の力関係がある。

だが、そのドイツ企業は、ドイツで課税される事も避けようとする。

そして、タンザニアと非課税条約を結んでいる国(タックスヘイブン)に送金するのである。

(これにより、ドイツ政府は課税できなくなる)

タックスヘイブンは、『二重非課税』というひどい結果を生んでいる。

この例でいうと、タンザニアもドイツも、オフショアのせいで税収を奪われている。

各国が結ぶ租税条約の規則や基準は、OECDと国連が定めている。

そして、OECDの方が優位に立っている。

OECDは、豊かな国(強い国)に有利にしていく租税条約モデルを作り、ライバルの国連を攻撃することにも精を出している。

カネの動きの透明性を高める運動をしているジョン・クリステンセンは、こう話す。

「2009年に開かれた国連の租税会議では、イギリス代表とリヒテンシュタイン代表が示し合わせて議事を妨害した。

それは、途上国の租税権限の拡大に対する攻撃だった。

出席者たちは本当に怒っていた。

イギリスとアメリカの利益を守るために、進行を邪魔しているのは明白だった。」

デイヴィッド・ローゼンブルーム

「アメリカは、バミューダと租税条約を結んでいるが、バミューダにはそもそも税制すら無いんだ。

こうした租税条約は、国境を越えた脱税をする為のものだ。」

(2016年5月11日に作成)


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