(しんぶん赤旗日曜版2017年12月3日から抜粋)
2017年11月の初めに、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が公開した「パラダイス文書」。
この文書に含まれる内部文書は1340万件で、2016年4月に公開された「パナマ文書」よりも価値が高いと見られている。
これによると、多国籍企業が脱税したカネは、全世界で58兆円、日本では5兆円に上る。
世界の富裕層トップ1%が保有する金融資産は、2008年のリーマン・ショック後に急増し、いまや金融資産全体の50%超を占めるに至った。
この富の集中に、タックスヘイブンが大きな役割を果たしている。
パラダイス文書では、アップル社やナイキ社の税逃れが判明し、英国のエリザベス女王やカナダのトルドー首相の腹心も税逃れが判明した。
アメリカのトランプ政権のロス商務長官も、出資する海運会社がロシアのプーチン大統領の親族が役員をする石油化学会社との取引で、巨利を得ていたのが判明した。
ロス氏は「権益を放棄する」と言明せざるを得なくなった。
パラダイス文書は、日本も千件以上の資料があった。
英領バミューダ諸島に本拠を置く香港企業の名誉会長になった、鳩山由紀夫・元首相の名もあった。
大企業では、丸紅、日本郵船、東京海上日動火災保険、ソフトバンク、東京電力の名があった。
パラダイス文書は、南ドイツ新聞が昨年に入手し、まだ一部しか公開されていない。
合田寛
「パラダイス文書では、アップル社の税逃れが解った。
アップル社は長年、アイルランドやオランダの現地法人を通じて、脱税していた。
ところがこの手法がバレて問題になったので、アイルランドの現地法人3社のうち2社をイギリス王室属領のジャージー島に移した。
日本にもタックスヘイブンを規制する「タックスヘイブン税制」があるが、抜け穴が多い。
親会社、子会社の所在地ごとの利益や税額を報告する「国別報告書」の提出が義務付けられたが、これを一般公開する必要がある。
多国間の租税協定も必要だ。」
(2021年8月16日に作成)