タックスヘイブンとオフショア・サービスは、
税制や規制を破壊してきた

(『タックスヘイブンの闇』から抜粋)

脱税や資金洗浄をしたい者は、まず匿名法人を設立する。
法人設立には、仲介をする専門会社がいる。

そして、その法人の名前で銀行口座を開き、資金を移すのである。

オフショア・サービスを提供する会社には、次の会社がある。

アップルビー、キャリー・オルセン、コンヤーズ、メイプルズ・アンド・カルダー(※メープル・グループに改称している)、ムラン・デュ・フ&ジュンヌ、オザンヌ・アンド・ウォーカーズ。

オフショア・サービスは、合法なものから違法なものまで、多種多様である。

合法だからといって正しいとは限らない。

奴隷制度も人種隔離も、昔は合法だったのだ。

脱税は、「税の最適化」「資産保護」「効率的なやり方」といった心地良い文句の陰に隠れている。

OECDのタックスヘイブン・ブラックリストは、2009年5月以降は記載件数がゼロである。

これは、必要な措置をしていない事を意味している。

ウォール街は長年、特別目的法人(SPV)を、ケイマン諸島やデラウェア州に置くのを好んできた。

多国籍企業らは、各国の政治家に対して、「課税や規制を厳しくしたら、オフショア地に行くぞ」と脅してきた。

これにより、オンショアな国が次第にオフショアになってきており、租税負担者は資産家や企業から一般市民の肩に移ってきている。

アメリカでは、所得の上位0.1%への課税は、1960年代には60%だったが、今は33%だ。

億万長者のウォーレン・バフェット(投資家として有名)は、「自分の会社で調査したら、全社員の中で自分の税率が最も低かった」と言う。

この大きな構造変化は、アメリカのレーガン大統領、イギリスのサッチャー首相、経済学者ミルトン・フリードマンが、大きな役割を果たした事はよく知られている。

だが、タックスヘイブンが果たした役割には、ほとんど関心が払われてこなかった。

タックスヘイブンは、税制や規制を破壊してきた一翼なのである。

オフショア地域(タックスヘイブン)を見逃しておくと、各国や各地域は後れをとらないように税率を引き下げる事になる。

他よりも一歩先を行って資金の流出を防ぐには、規制を緩和し続けなければならない。

その結果、どんどん規制は緩くなってしまう。

(2014.3.10.)


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