(以下は『東京新聞2015年7月14日』から抜粋)
EUの首脳会議は7月13日に、財政危機にあるギリシャに金融支援を行うことで合意した。
条件として、ギリシャが財政再建策を早期に法制化することを求める。
「緊縮政策を見直す」としたチプラス政権が誕生して以来、半年に及んだギリシャのユーロ離脱の可能性は、ひとまず回避された。
ギリシャは、年金制度の改善や、付加価値税の増税について、法制化で合意した。
国有資産の500億ユーロを基金化し、銀行の債務返済にあてる。
こうした再建策と引きかえに、EUは最大で860億ユーロの支援を行う。
ギリシャが求めていた債務元本の減免は認められず、「猶予や返済期間の延長の用意はある」 とEUは答えた。
ギリシャは2015年6月末に、再建策の合意を目前にして、突然に国民投票の実施を決めた。
7月5日の国民投票に際し、チプラス首相は「緊縮に反対を示せば、支援交渉が有利になる」と説いた。
これに欧州委員会は怒り、国民投票前よりも厳しい緊縮策を突きつけた。
国民投票では「緊縮に反対」が6割となったが、チプラス政権はその結果を反故にして しまった。
支援を決めた13日の首脳会議を、欧州メディアは「チプラス氏への拷問だった」と表現している。
ギリシャでは、チプラスの裏切りに抗議するデモも起きている。
交渉では、最大債権国のドイツが最も強硬な態度をとった。
ギリシャが金融支援を受けるのは、2010年、2012年に続いて3度目となる。