(『チョムスキー、世界を語る』から抜粋)
チョムスキー
アメリカでは、常に世論調査が行われています。
それは基本的に、実業界が民衆の考えを知りたがるからです。
毎年、世論調査では「政府は誰のために働いていると思いますか」と質問されます。
この質問には、半数の人が「少数の特定の人間のために働いている」と回答しています。
レーガン政権の時代には、この回答が80%に達しました。
80%以上の人が、政府は茶番劇だと考えていたのです。
質問者
政府はつねに、「自分たちは皆のために働いている」と宣伝しています。
プロパガンダは、それほど効果を上げていないのでしょうか?
チョムスキー
プロパガンダというのは、人々に「自分は無力で孤立している」と思わせれば、成功なのです。
広告・宣伝産業にとって理想なのは、『各個人を、他人や家族から切り離すこと』です。
これに成功すると、人々は「流行の商品」といった生活の軽薄な部分にしか関心がなくなり、政治において「観客」の立場に留まります。
質問者
極右勢力については、どう思いますか。
チョムスキー
そういう勢力の台頭には、無力感を見てとる事ができます。
ファシズムも、無力感から生まれます。
「我々を守ってくれる者は、どこにも居ない。
我々に対して良くない事をしようとしている者がおり、脅威にさらされている。」
こういう不満に、右翼はつけ入るすべを心得ています。
(2014.5.25.)