(『チョムスキー、世界を語る』から抜粋)
チョムスキー
メディアの情報は、たいていは「情報操作」の側面があります。
メディアには、根本的な構造的制約がのしかかっています。
なにしろ、メディアは広告に頼っていますから。
ウォール・ストリート・ジャーナルを例にとりますと、ニュース部門は世界で一番優秀ですが、解説や論説はとても低レベルです。
質問者
情報については、速さを競うスピード競争があると思いますが、どう思いますか?
チョムスキー
情報は、遅れても問題ありません。
ニュースが1ヵ月遅れたからといって、読者は同じように理解するだけです。
ニュースが迅速になると、出来事のまっただ中で暮らしているような錯覚を与えます。
しかしそれは、プロパガンダがより強力になる事に過ぎません。
現状の正しい把握を妨げているのは、ニュースの突っ込み不足や軽薄さであって、スピードではないです。
(2014年5月28日に作成)