(『すばらしきアメリカ帝国』から抜粋)
チョムスキー
民主化を成し遂げたいのであれば、普段からの努力が必要です。
物事を変えるのは、「教育」「組織化」「積極的な活動」です。
ベトナム戦争の時も、アメリカで反戦運動が盛り上がったのは、戦争が始まってから何年も経った後でした。
当初は反対運動は起こらず、反戦集会は学生たちに妨害されるなど、メディアも学生も戦争を支持していました。
この事実は、歴史から消し去られています。
「かつては凄まじい反戦運動があったが、今はない」と言われがちですが、反戦運動が勢いを得るには、何年もの努力があったのです。
ひたむきな努力があれば、人々の意識を大きく転換できます。
質問者
世界的な問題について、個人としては何ができるのでしょうか?
チョムスキー
できる事は沢山あります。
皆が聞きたいのは、『あっという間に解決するための方法』だと思います。
「デモに参加したが変化はなかった。2003年2月15日には1500万人が街頭を行進したが、ブッシュ大統領は戦争を始めた。これでは絶望的だ。」と考える人もいます。
しかし、物事は一気には前進しません。
来る日も来る日も徹底して続ける事が必要なのです。
奴隷制度の廃止、女性の権利の確立、選挙権の獲得、労働者の保護。
こうしたものは全て、長年の努力の結果です。
民主的文化を発展させなければ、あなたが票を入れた党が公約を果たすことはありません。
選挙で投票するだけでは、変化は訪れないのです。
(2014.7.4.)