(『すばらしきアメリカ帝国』から抜粋)
チョムスキー
他国への侵略は、枚挙にいとまがないほど起きてきました。
アメリカのケネディ大統領が進めた南ベトナムへの介入・侵攻は、侵略でした。
インドネシアによる東ティモールへの侵攻だって、明白な侵略です。
2万人の犠牲者を出したイスラエルによるレバノン侵攻も、同じです。
両方とも、アメリカの支援の下で行われました。
アメリカがした1989年のパナマ侵攻だって、侵略でした。
パナマ側の情報によれば、侵略の過程でアメリカ軍は3000人の市民を殺害しました。
この犠牲者数は、イラクによるクウェート侵略と並ぶ規模です。
違法なかたちで身柄を拘束されたパナマ指導者のマヌエル・ノリエガは、フロリダに連行されて無茶な裁判により有罪になりました。
その罪のほとんどは、彼がCIAに雇われていた頃の出来事です。
イラクのサダム・フセインが裁判にかけられれば、同じになるでしょう。
(※かつてアメリカから支援を受けていたフセインは、捕まって死刑になった)
アメリカは、「イラクは大量破壊兵器を持っている」と言って、イラクに侵攻しました。
(その後に、大量破壊兵器は無かったと判明した)
大量破壊兵器が気になるなら、遠くを探す必要などありません。
アメリカそのものが、軍縮の条約を拒否し、宇宙の軍事化を進めて、「小型核」と呼ばれる新型の核兵器を開発しています。
宇宙の軍事化は、非常に深刻な問題です。
宇宙の軍事化を禁止する法案への同意を、クリントン政権は拒否しました。
2002年9月に、アメリカ空軍の宇宙部門は、計画を発表しました。
そこでは、「アメリカは宇宙の所有へと進む」と書かれています。
宇宙の所有とは何か。
一部はリークされ、他は公開されています。
これは、『核兵器やレーザー兵器を、世界のどこへでもいきなり発射できるように、基地を宇宙に造ること』です。
つまり、世界中を監視下に置き、アメリカがいきなり攻撃を仕掛けられることを目指しています。
これに対しては、ロシアと中国は軍事費を拡大させる事で応じています。
中国の宇宙船の打ち上げは、アメリカの宇宙計画への対応です。
「宇宙の所有など許さない」というメッセージを伝えているのです。
アメリカの挑発的な態度が原因で、各国は軍拡をし、テロも起きています。
ですからアメリカは、脅威の拡大を自分たちで誘発しているのです。
(2014.7.8.)