(『すばらしきアメリカ帝国』から抜粋)
チョムスキー
1950年頃には、アメリカにとって脅威になる可能性のあるものが、1つだけありました。
「核弾頭を搭載した大陸間弾道弾」です。
これが完成すれば、アメリカ本土が壊滅する可能性さえあります。
この新型兵器は、その時点では実現していませんでしたが、米ソは開発に着手していました。
アメリカは、この兵器の開発を禁じる条約を提案できたし、ソ連が同意した可能性は十分にあります。
公開されたソ連時代の記録から判明したのですが、『アメリカが軍拡競争にむりやり引っ張り込んで、ソ連の経済を破滅に導こうとしていること』を、ソ連は理解していました。
ソ連の経済規模がアメリカに比べて非常に小さかった事を、忘れてはなりません。
従って、条約を承諾する可能性はありました。
ところがアメリカ政府は、条約の可能性に言及すらしませんでした。
短期的な軍事利権の追求を選んだからです。
(2014.7.8.)