(『すばらしきアメリカ帝国』から抜粋)
チョムスキー
アメリカ政府は、なぜ真実を伝えないのでしょうか。
嘘をつくよりも本当の事を言うほうが楽だし、隠そうと努力する必要もない。
権力が真実を隠すのは、一般国民をまったく信用していないためです。
質問者
バートランド・ラッセルは、「植民地の状況に関心を持たない市民がいる事が、帝国主義の本質である」と言っています。
チョムスキー
関心を持っている人もいるのですが、知らされないのです。
プロパガンダには、『自分の罪に関して口をつぐむこと』も含まれます。
本当の事を知れば、人々は許しません。
イラク戦争でのファルージャにおける出来事もそうです。
アメリカ海兵隊はファルージャに侵攻し、数百人を殺害しました。
その後アメリカは、攻撃されてファルージャから退却しました。
もし1960年だったら、B52による爆撃などで簡単に片付けていたはずです。
どうして今回は決行しなかったのか。
アメリカ国民が許さないためです。
昔なら簡単に行えた殺人作戦は、もはや実行できないのです。
私は、政府関係文書を読むのに長い時間を費やします。
機密文書は、誰から秘密を守っているのか?
主に、自国民からです。
機密文書のうち、安全保障に関するものはごく僅かです。
権力者にとっては、自国民という最大の敵が真実を把握できないようにする事が、いちばん重要なのです。
(2014.7.9.)