アメリカの誤った政策⑤
国内政策について① 検閲、脱税の横行

(『すばらしきアメリカ帝国』から抜粋)

質問者
最近のアメリカでは、天地創造説が支持され、教科書は検閲を受けています。

チョムスキー

これは、アメリカ文化の心配な側面です。

アメリカでは、人口の半分が「世界は数千年前に創造された」と考えており、大多数が昇天・奇跡・悪魔の存在に確信を持っています。

 ジミー・カーター以前は、大統領が熱狂的な信仰心を装う必要などありませんでした。

彼以降は、全員がそうしたふりをしています。

これは、民主主義を本当に蝕んできました。

本人は意識していなかったでしょうが、カーターは『福音主義のキリスト教徒に見せかける事で、大量の票を獲得できる』という教訓を残しました。

神を畏れる信心深い人物というイメージは、売り込みやすいのです。

質問者  私はラジオの仕事をしていますが、禁止用語を含んでいるために、アレン・ギンズバーグの「ハウル」やボブ・ディランの「ハリケーン」を放送できません。

チョムスキー

あらゆる場所で、言論の自由に対する攻撃がくり広げられています。

言論弾圧をする法案を推進している1人は、「教師の80%は民主党支持者かつ共産主義者である」と言っています。

私に言わせれば(チョムスキー氏は大学教授をしている)大学はかなり右翼的ですが、企業セクターに完全に所有されているわけではありません。

彼らには、それが許せないのです。

質問者  息子ブッシュ政権は、「新世代の核兵器を開発している」と公表しましたね。

チョムスキー

アメリカはおそらく、より破壊的な兵器の開発へと進んでいます。

非核国が核武装するよりも、核保有国の条約違反の方がはるかに危険です。

質問者  アメリカでは、宗教原理主義が高まっていますね。

チョムスキー

急に高まってきたわけではありません。

アメリカはその起源から、非常に信心深い国でした。

ニューイングランドを開拓した者達(先住民を虐殺した者達)は、「自分はイスラエル(神の選民)の子孫であり、軍神の命令に従っている」と信じていました。

西部の開拓は、宗教原理主義によって推進されていました。

ジャクソン大統領のフロリダ侵略は、スペインの入植地を乗っ取る企てでした。

フロリダを獲得する戦いは、邪悪で冷酷で残忍な、インディアンを根絶するための戦争でした。

質問者
アメリカにおける宗教の別の側面は、権力への異議申し立てです。

1980年代の中米における連帯運動や、最近のイラク戦争への抗議に反映されています。

チョムスキー

1980年代にアメリカで起きた『連帯運動』は、まったく新しいものでした。

何万人ものアメリカ人が中米へ赴き、アメリカ軍の攻撃を受けている人々を保護しました。

この運動の中心は、教会でした。

当時のアメリカ政府(レーガン=ブッシュ政権)は、中米で広がっていた「解放の神学」(抑圧や貧困からの解放を目指すキリスト教の運動)を危険視して、アメリカ軍に攻撃させていました。

アメリカは中米で、キリスト教に戦争を仕掛けていたのです。

質問者
現在のアメリカは(息子ブッシュ政権では)、ドルは弱く、財政赤字は拡大し、個人の借金額は上昇し、貯蓄率は史上最低の水準です。

チョムスキー

赤字の問題は複雑です。

家計の赤字はとてつもないですが、大企業の赤字は少ないのです。

富裕層と大企業にとって有利で、国民には害を及ぼすように、経済計画が進められています。

大企業は、ほとんど税金を払っていません。

例を挙げましょう。

私は1990年代の半ばに、対外投資についての商務省の報告書を読みました。

対外投資のうち、25%はバミューダ諸島、15%はケイマン諸島、10%はパナマでした。

50%が、タックスヘイブンに流入するマネーだったのです。

残りの大部分も、合併や買収のためです。

企業権力による泥棒まがいの行為が、大規模に展開されています。

その一方で、一般国民の賃金は横ばいか低下が30年も続いており、勤務時間も延びています。

まともな経済学者は、ブッシュ政権が財政赤字を故意に積み上げていく様子にいら立っています。

ブッシュ政権のやっている事は、『コストを将来の世代に転嫁すること』です。

彼らは、富裕層と権力者に奉仕し、未来の世代にコストを押し付けています。

(2014.7.12.)


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