(『ノーム・チョムスキー』リトル・モア刊行から抜粋)
チョムスキー
ハイチは、この1世紀ほどアメリカの介入のターゲットになってきました。
ウィルソン大統領は、1915年に「ウィルソン理想主義の実行」と称して、ハイチを侵略しました。
そして、議会制度が破壊され、奴隷制度が復活し、多くの人が亡くなりました。
死者は1.5万人とされています。
ハイチはアメリカ投資家の植民地となり、アメリカは国家警備隊を配備しました。
ハイチ国家警備隊は、アメリカを後ろ盾にして、国の実権を握ってきました。
父ブッシュとクリントンの両大統領は、軍事政権を直接支援し、ハイチでは最悪の国家テロが続きました。
ハイチでテロ行為で有罪となっているコンスタントは、アメリカ政府に匿われています。
コンスタントは、1990年代の初めに4~5千人の国民を殺害した民兵組織のトップでした。
アメリカ政府は、コンスタントの送還を拒否しています。
彼を本国に戻せば、彼のテロとアメリカの関係について、口をすべらす可能性が大きいからです。
ハイチでは軍事政権が排除されましたが、アメリカは禁輸措置をとり、ハイチを支援しているのはキューバだけです。
ハイチは、今までの債務の利子を払うために、危機的な状況です。
(2015.7.14.)