イギリスが帝国だった時の間違った思考と政策

(『ノーム・チョムスキー』リトル・モア刊行から抜粋)

チョムスキー    

現在(2002年)はアメリカが非道な事をしていますが、イギリスが世界の覇者であった時代には、イギリスが非道な事をしていました。

機密扱いを解かれたイギリスの文書を見ると、第1次世界大戦の頃には、戦後にイギリスがいかにしてアジアで覇権を維持するかが検討されていました。

1つの提案は、「空軍に頼る」というものでした。

空軍は、第1次大戦中に登場したばかりでした。

「空軍を使って一般人を空爆することは、アジアの未開人を鎮圧するコストを削減するのに良い」とイギリスは考えたのです。

しかし、植民地大臣だったウィンストン・チャーチルは、それでは不十分だと考えました。

チャーチルは、カイロのイギリス空軍から「毒ガスを使用する許可」を求められました。

イギリス空軍は、反抗的なクルド人とアフガン人に、毒ガスを使用しようとしたのです。

インドの植民地政府は、これに反対しました。
毒ガスを使えば、イギリスへの反感が増して暴動が起きると考えたからです。

チャーチルは、こう答えました。

「未開の部族民に毒ガスを使用することについて、なぜ神経質な
 反応を示すのか。

 毒ガスは、未開人に強烈な恐怖を与え、イギリス人の生命を
 救うだろう。

 我々は、あらゆる手段を利用する。」

この後どうなったのかは、正確には分かりません。

クルド人とアフガン人に対するイギリス空軍の攻撃は、関係文書が公文書館から持ち去られており、おそらくことごとく廃棄されました。

第1次大戦後にイギリスは、民間人への空爆を阻止しようとする運動を、邪魔し続けました。

ロイド・ジョージは1932年に、空爆反対の運動を再度阻止した政府に、賞賛の言葉を送っています。

「我々は、黒人を爆撃する権利を留保しておかなければならない」

これが、イギリスの民主主義です。

(2015.7.16.)


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