黒人の状況②
1980年代から麻薬が浸透する それにより貧困がさらに進む

(『アメリカ黒人の歴史』上杉忍著から抜粋)

アメリカ黒人の貧困層の荒廃を大きく進めたのは、「麻薬の浸透」である。

レーガン政権が「麻薬との戦争」を宣言したのは1982年だが、その宣言の直後から事態は深刻化してきた。

(この「麻薬との戦争」政策は、今では弊害ばかりの政策だと明らかになっている。詳しくは、『黒人の状況③』に書いている。)

この時期に、麻薬マフィアたちは固形コカインの「クラック」を開発し、瞬く間に広まった。

クラックは、安価(5ドル程度)だが、高揚感が数分間しか続かない。
そのため次々に摂取して、常習化しやすい。

そして精神異常と暴力が起こり、犯罪が増加した。

警察と裁判所は、麻薬に「厳罰主義」で挑み、黒人の服役者が激増した。

刑務所は、大量の麻薬患者の収容所となっている。

クラックを購入するための売春も、多発している。

コカインの流入量は急増し、1989年の麻薬取引は1500億ドルに達した。

この年には、年間に200回以上も使用する者は、400万人となった。

取り締まりが強化されると、麻薬の移送・売買に、未成年者が利用されるようになった。

その結果、黒人の若者の殺人率は急増し、殺人件数は白人の6~7倍となった。

(2014.4.28.)


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