(『アメリカ黒人の歴史』上杉忍著から抜粋)
1990年代からは、アフリカからの黒人の移民が、アメリカで増え始めた。
1990年代に黒人の移民は、カリブ海からは90万人、アフリカからは40万人であった。
ニューヨーク市では、黒人人口の3分の1は移民であり、その子供を含めると50%を超えている。
2007年には、アフリカからの移民が全国で140万人に達した。
これらの移民たちは、従来の黒人団体には加わらず、ジャマイカ系、ナイジェリア系など、出身地ごとに団体を結成している。
アフリカからの近年の移民は、概して学歴が高く、貧困層に押し込められる事は少ない。
また、難民に指定されれば政府の補助も出る。
ジャマイカなどのカリブ海からの移民も、自立性が高く、アメリカ南部の奴隷出身の貧しい黒人たちとは一線を画している。
しかし彼らは、アメリカでは「黒人」として一括りにされ、差別されている。
大学教師や弁護士であっても黒人である限りは、警察の「レイシャル・プロファイリング(車を止められて、身体検査や車内の捜索をされること)」の対象になり、しばしば車を止められる。
(2014.4.28.)