息子ブッシュの行ったテロとの戦争は、欺瞞と偏見だらけ

(『なぜアメリカはこんなに戦争をするのか』から抜粋)

息子ブッシュ大統領は、9.11事件を「戦争行為」と呼んだ。

その攻撃を行った犯人に対して、宣戦布告をしたかったからだろう。

9.11事件後の状況は、アメリカの軍国主義者や権力者が心待ちにしていたものである。

議会は軍事費をいくらでも出すし、CIAの行う要人暗殺やマフィアをスパイとして雇う権限が復活する。

公民権は抑えられるし、軍基地への反対運動を無視できる。

国連を無視できるし、国際法も無視できる。

過半数の票を取れずに大統領になった息子ブッシュは、アメリカで圧倒的な支持率を得た。

9.11事件のすぐ後に、息子ブッシュ大統領は「これは戦争だ。我々は戦争で報復する。」と言った。

ブッシュ政権は、テロ犯罪を「戦争」と呼ぶことで、自らが犯そうとする犯罪(侵略戦争)を正当化しようとしたのだ。

ブッシュは、「テロとの戦いには、中立は存在しない」と宣言した。

つまり、「アメリカの味方(報復戦争の支持)か、テロの味方か」の2択しかないと言った。

しかし世界の人々の大半は、どちらも支持していない。

私の友人の息子は、こう言った。

「9.11事件で、一般市民を空爆する(空から無差別攻撃する)のは良くないって実証しちゃったね」

アメリカ軍は、たくさんの国で空爆をしてきた。
一般市民も犠牲にしてきた。

アメリカの爆撃機の仕事はテロであり、アメリカ軍はテロリストなのである。

ブッシュは「テロとの戦い」を、「無限の正義」と名付けた。

「無限の正義」の名の下で、国際法も国連も無視しようとした。

今回のアメリカが敵とした「テロリスト」には、領土も軍隊も政府もない。

敵は宣戦布告していないし、戦争を終わらせるための交渉相手もいない。

この戦争では、どうやって勝つか、どうやって終わらせるかが、曖昧である。

テロリストたちは、まとまっていないし、お互いに連絡を取り合ってもいない。

結局のところ、誰がテロリストなのかは、アメリカ政府が決めている。

そして、その基準は曖昧で秘密なのだ。

ブッシュ政権が言う「テロリスト」とは、いったい何なのか。

まず兵隊ではない。
兵隊ならば、ジュネーブ協定などの国際法によって保障される権利がある。

次に、犯罪容疑者でもない。
犯罪容疑者ならば、有罪判決が出ない限り、無罪として扱われる権利がある。

ブッシュは、テロリストに対して繰り返し「evil(邪悪)」との言葉を使った。

つまり、悪魔の勢力として扱ったのである。

アメリカの新聞マンガでは、テロリストをドブネズミなどの害獣として描いてきた。

アメリカ政府は、テロリストに対して「根絶」「全滅」という言葉を頻繁に使っている。

そして、アフガニスタンで捕まえた数百人をグアンタナモ基地に抑留し、「彼らは捕虜ではないので、ジュネーブ協定は適用されない」と主張した。

2001年11月13日にブッシュが発した大統領令により、テロリストの容疑者たちは普通の裁判ではなく、軍事裁判で裁かれる事になった。

被告人には、弁護士を選ぶ権利も、不利な証言に反論する権利も、上訴する権利もない。

数人のアメリカ軍将校の判事が、死刑までの判決を出せる。

さらに裁判は、非公開である。

ある弁護士は言う。

「アメリカに住んでいる1700万人の外国人は今、戒厳令の下に暮らしている」

テロの定義は、角川の辞典では、①恐怖 ②恐喝 ③革命の手段としての暴力 となっている。

飛行機が発明されて以降は、反政府テロよりも「国家テロ」の方が圧倒的に多い。

軍による空爆は、相手の国民に恐怖(テロ)を感じさせる戦略である。

テロは「弱者の戦略」と言われるが、それは間違いであり、主に強者(国家)が使ってきたのである。

湾岸戦争からは、「ピンポイント爆撃」が話題になっている。

(アメリカ軍は、「ピンポイントに爆撃しており、民間は攻撃していない」と主張している)

しかし私は、湾岸戦争の数ヵ月後にイラクに行き、空爆で破壊された住宅・市場・病院などを自分の目で見た。

アメリカ軍ほど、都市を空爆して破壊した軍隊は無い。

アメリカ軍は、世界最大のテロ組織である。

(2014.6.10.)


『世界情勢の勉強 アメリカ』 目次に戻る

『世界情勢の勉強』 トップページに戻る

『サイトのトップページ』に行く