(『なぜアメリカはこんなに戦争をするのか』ダグラス・ラミス著から抜粋)
アメリカはしょっちゅう戦争をしているので、戦争に行って人を殺してきた人が、社会のあちこちにいる。
そうすると、人を殺すことが特別でなくなる(殺人に鈍感になる)。
たとえ国外で戦争していても、社会は戦場の影響を受ける。
日本の場合、敗戦後は戦争で人を殺していない。
その事は、日本社会を基礎づけており、特に男子の教育に影響している。
アメリカは戦争ばかりしているので、「人を殺せなければ一人前の男ではない」という価値観があり、男の子の遊びは『戦争ごっこ』が目立っている。
「ベトナム戦争以後は、アメリカ社会が暴力的になった」とよく言われる。
アメリカ社会が暴力的なのは、「みんなが銃を持っているからだ」という説もあるが、ベトナム戦争以後にさらに暴力的になったのは事実である。
普通の人は、人を殺す事など命じられても出来ない。
だが戦場では、普通の人がそれをやらなければいけなくなる。
軍の教育が「洗脳教育」であることは、よく知られている。
命令をうけたら即座に実行するように、教育していく。
海兵隊の銃剣の訓練では、頭や心臓を狙う。
指揮官が「銃剣は何のためだ?」と質問し、兵士が「殺すためです!」と答えるのを、繰り返し繰り返し行う。
アメリカは、人を殺せる人間を、大量に生産しているのである。
そして、実際に殺人をした事のある人が、たくさん存在する。
外国で戦争をしてきた人を「ベテラン」と言うが、彼らの犯罪率は高い。
ノイローゼになった人や、精神を病んでホームレスになった人もいる。
ロサンジェルスのギャングを研究している人によると、ギャング組織のボスや幹部は、ほとんどがベトナム戦争の帰還兵だという。
復員してきてもやる事がないので、ベトナムのジャングルで学んだこと(殺人と麻薬の売買)を、ロサンジェルスのジャングルでやり続けているのである。
日本が戦争する国になったら、日本の社会そのものが変わる。
殺人が称賛されるようになると、男の子の生き方が変わるのである。
○村本のコメント
アメリカのコンピュータ・ゲームは、軍隊・戦争を扱うものや、異星人や怪獣と戦うものが人気で、銃を撃ちまくるものが多いです。
映画も同じ傾向にあり、日本人から見ると、その暴力性(暴力の肯定)は異常に思えます。
こうした作品が人気を集めるあたりに、アメリカの病的さが現れていると思います。
日本でも銃を撃ちまくる作品が人気を高めているのに、私は危機感を持っています。
「銃を撃つのは異常なことであり、危険かつ暴力を助長する行為であること」を、きちんと大人が認識し、子供にも教える必要があります。
(2014.6.10.)