今のアメリカには報道の自由はない④
イラク戦争時の虚偽情報に基づいた報道

(BSドキュメンタリー「報道の自由と巨大メディア企業」から)

クリス・ヘッジズ(元ニューヨーク・タイムズ)

「報道機関は、戦争が起きると愛国的な報道に偏り、その結果プロパガンダが広まる事になります。」

ジョナサン・ランディ

「9.11事件は、ブッシュ政権にとってはチャンスとなりました。

イラク侵攻を正当化する道具にできたからです。」

息子ブッシュ政権は、(9.11事件の直後に)アフガニスタンに攻め込んだ後、(イラクに攻め込むため)サダム・フセインと9.11事件を結びつけるべく動き出した。

ボブ・ベア(元CIA工作員)

「ブッシュ政権は、まずイラク戦争を行う事を決めてから、その理由づけをしていったんです。

私はイラクの諜報活動に当たっていましたが、9.11事件と結びつく情報は全くありませんでした。」

サダム・フセインが9.11事件に関与した証拠が見つからない中、1人の亡命イラク人がニュースに登場し始めた。

アドナン・アルハディリ(アルハデルとも聞こえる)である。

プラタップ・チャタジー

「アルハディリは、『イラクが大量破壊兵器を所有している証拠がある』と主張しました。」

ジョナサン・ランディ

「アルハディリは、『大統領宮殿の下に多くの施設が存在する。井戸に見せかけた核施設がある。』と言いました。

アメリカ政府は、これを採用しました。」

当時のディック・チェイニー副大統領の会見から

「フセインは、核兵器開発を再開しています。

亡命イラク人から得た証言です。」

当時のラムズフェルド国防長官の会見から

「施設の場所は把握しています。あちこちに存在しています。」

この政府のプロパガンダは、1つのメディアを通じて拡がった。

ニューヨーク・タイムズである。

クリス・ヘッジズ(元ニューヨーク・タイムズ)

「私は当時、内部で目撃していました。

政府の言う嘘を聞かされて、皆が信じ込んでいました。」

息子ブッシュ政権は、国際社会に向けてもプロパガンダを行った。

ジョン・マッカーサー(ハーパーズ・マガジン社長)

「国連安保理でコリン・パウエル国務長官が述べた、虚偽の発表が、武力行使を正当化する決定打になりました。」

パウエル国務長官

「我々は、(イラクの)生物兵器工場の詳細を、直接つかんでいます。」

クリス・ヘッジズ

「パウエルの発表のほとんどは、アルハディリの情報に基づいたでっち上げでした。

物証は何もありませんでした。

にも関わらず、アメリカのメディアは『彼の報告は、戦争の正当性を裏付けるものだ』と書き立てました。」

当時のFOXニュースから

「否定できない、動かしがたい、明白な証拠を、パウエルは提示しました。」

アメリカ軍がイラクに侵攻した後に、『大量破壊兵器があるとされた場所には、何もない』と明らかになった。

ジョン・マッカーサー

「記者たちを非難するのは、的外れです。

非難すべきは、メディアの所有者です。
経営者が組織にいる人達の行動を決めるのですから。」

ジュリアン・アサンジ(ウィキリークスの創設者)

「『戦争は、主要メディアによって始まる』というのが、私の考えです。

メディアは政府に接近しすぎており、メディアと軍や諜報機関が混じり合ってきています。」

エイミー・グッドマン(独立系メディア「Democracy Now!」)

「巨大メディアは、売上を伸ばすためなら、戦争を推し進めるんです。

彼らが提供する戦争の是非についての論争は、戦争賛成派ばかりで行われます。

蚊帳の外に置かれた大半の国民は、戦争に反対しています。」

(2014.12.1.)


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