(『アメリカの歴史を知るための62章』から抜粋)
アメリカ合衆国が発足した翌年の1790年には、総人口は393万人で、81%は白人で19%が黒人だった。
その後、1860年までに、ドイツ系やアイルランド系の移民が500万人も到来した。
1860年には、白人が86%、黒人は14%になった。
1880年~1921年に、2630万人の移民がヨーロッパから到来して、1920年には白人が90%、黒人は10%になった。
移民の大流入に危機感を持ったWASP(ホワイト・アングロサクソン・プロテスタントの人々)は、移民の制限、反カトリック、反ユダヤ、反共などを支持した。
1965年に『移民国籍法』ができて、それまでの国別の移民割り当て制が廃止されて、どこの国からでも移民ができるようになった。
その結果、ヒスパニック系(スペイン語を母語とする、メキシコや中南米出身の人々)とアジア系の人口が、急増していった。
ヒスパニック系は、1980年に初めて調査が行われて、1460万人と分かった。
その後、90年には2235万人、00年には3531万人になった。
さらに、アジア系や黒人も増えた。
この結果、非ヒスパニック系の白人は、現在では総人口の69%にまで下がっている。
2042年には、非ヒスパニック系の白人は、50%を切ると予測されている。
こうした民族の多様化に伴って、1980年代から多文化の尊重が広がってきた。
1992年のロサンゼルス暴動の後は、一層の広がりを見せて、学校教育には異文化を学ぶ授業が組み込まれるようになっている。