(『そうだったのか!アメリカ』から抜粋)
アメリカが世界を支配するためには、情報の収集が欠かせない。
情報収集のために、CIAなどの諜報組織がいくつもある。
その中でNSAは、通信の盗聴を担当している。
NSAの盗聴システムは、「エシュロン」という。
エシュロンとは、「梯団」のことである。
NSAは、アメリカを中心に活動しているが、イギリス・カナダ・オーストラリア・ニュージーランドの情報組織とも協力し合って、盗聴と分析をしている。
電話・ファックス・電子メールを盗聴している。
日本の三沢基地にも盗聴用の巨大なアンテナがあり、日本国内の情報を収集している。
集められた情報はニュージーランドの通信部に送られて、大事な情報はアメリカに送られる。
(『毎日新聞2013.7.7.』から抜粋)
元CIAの職員であるエドワード・スノーデンは、CIAなどの盗聴を告発し、話題になっている。
スノーデンは、CIAで働いている時に、電話の盗聴やメールの盗み見をしている事を知り、オバマ大統領に失望した。
オバマは「個人のプライバシーを大切にする」と公約していたのに、ちっとも改善されていないと、彼は批判している。
アメリカには、CIA、FBI、NSAなど、16もの情報機関がある。
9.11事件の後に、情報機関をまとめて管理する、「国家情報長官」のポストがつくられた。
NSAは、組織の存在自体が秘密にされてきた。
実態は明らかになっていないが、2001年にEUは、「エシュロンという世界的な傍受システムが存在している」と報告した。
アメリカ政府は、「中国がネットを通じて情報を盗んでいる」と言って、中国を批判してきた。
しかし、アメリカも同じ事をしていたのである。
アメリカがこうした情報収集を行えるのは、『外国情報の監視法』があるからである。
この法律では、裁判所の許可があればいつでも盗聴できる上に、緊急の場合は裁判所の許可がなくても盗聴できる。
(『サンデー毎日2014年6月1日号』から抜粋)
NSAなどの文書を公開したエドワード・スノーデンにまつわる本、『暴露 スノーデンが私に託したファイル』と『スノーデンファイル 地球上で最も追われている男の真実』には、NSAに丸裸にされた日本の姿が映し出されている。
『暴露』によると、ニューヨークにある日本政府の国連代表部は、NSAの設置した「LANの埋め込み装置」によって盗聴されていた。
スノーデンは、高卒後(高校中退が正しい)にアメリカ陸軍やCIAを経て、2009年にデル社に入社した。
NSAの業務を請け負うデル社は、スノーデンを日本にあるNSA施設に配置した。
スノーデンは同施設での経験を、こう語る。
「そこで目にしたものについて、心底から悩むようになりました。
無人機によって殺される運命にある人々の監視映像を、リアルタイムで見た事もあります。
(無人機の撮る映像により)村全体や人々の様子が、手に取るように見えたんです。」
日本にあるNSA施設は、米軍三沢基地(青森県三沢市)はよく知られている。
そのため日本のメディアは、「スノーデンは三沢に居たようだ」と報じている。
しかし米メディアは、「スノーデンは、東京の米軍基地内にあるメリーランド大学の分校に通学していた」と報じ、スノーデンの恋人はブログに「私達は東京の郊外に住んでいた」と書いている。
取材を進めると、『東京都福生市にある横田基地に、NSAの施設がある』との情報を得た。
組織名は『在日の国防総省の特別代表部(DSRJ)』といい、庁舎の屋上にはアンテナが多数見えるという。
インターネット検索をすると、米軍情報部やNSAに所属する人物経歴に「DSRJ」が記されている例が少なくない。
今年3月に、ネット上でスノーデンとDSRJの関係が明らかになった。
情報保全の技術者に資格試験をしているアメリカの民間団体のサーバーが、ハッキング攻撃を受けて、書き換えられる被害を受けたのである。
書き換えられた画面は、スノーデンが2010年10月に同団体に送った試験の申し込みメールで、彼の経歴書も添えられていた。
経歴書には、所属組織は「DSRJ」とあり、スノーデンのメールアドレスには「yokota」の文字があった。
『暴露』では、スノーデンの職務をこう書いている。
「日本で集中的な訓練を受けたスノーデンは、正式に上級サイバー工作員となった。
国防情報部の訓練アカデミーでは、中国防諜コースで講師を務めるまでになった。」
NSAは、日本も監視対象にしており、在日米軍基地をサイバー戦の基地に使っている。