(以下は『ニュースを読む技術』池上彰著からの抜粋
2013年8月17日に作成)
世界の石油の価格を決めているのは、アメリカのWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)と呼ばれる、軽質油(軽い原油)である。
テキサス西部で採れるこの原油は、アメリカでは最も質の良いものだ。
このWTIの先物が、NYのマーカンタイル(商品先物)取引所で売買されて、それが世界の原油価格の指標になっている。
取引されているWTIの先物とは、「1ヵ月や2ヵ月先に買う金額を、今から決めておく」というものである。
現物を取引するわけではないため、誰でも市場に参加できる。
そして、ヘッジファンドなどが参加するため、価格は大きく上下する。
WTIの取引単位は、「バレル」である。
バレルとは樽のことで、かつてアメリカでは飲み終えた酒樽に原油を入れて運んでいたので、この呼び名が単位になった。
1バレルは、159リットルである。
WTIの価格を参考にして、ドバイ原油やオマーン原油のスポット価格が決まる。
これは先物ではなく、現物の取引である。
WTIよりもガソリン成分が少ないため、ドバイ原油とオマーン原油はやや安い価格になる。
そして、この2つの価格に基づいて、日本の石油会社が中東から購入する原油価格が決まる。
これを決めるにはルールがあり、ドバイ原油とオマーン原油の価格を足して2で割り、それにプラスアルファの上乗せをして価格が決まる。
WTIの価格は、アメリカ国内で取引されているために、アメリカ国内の事情で価格が変動する。
アメリカに振り回される世界という構図が、ここにも存在している。
(以下は『毎日新聞 2013年7月20日』からの抜粋
2026年3月25日に作成)
原油のWTI先物価格(8月渡し)は、2012年3月以来で1バレルが108ドル台の高値となった。
日本では円安もあり、ガソリン価格が大きく上昇している。
日本ではレギュラーガソリンの店頭価格が1リットルあたり155円で、2012年7月の140円弱から1割以上の上昇だ。
WTI価格は、2008年7月に金融緩和を受けて投機マネーが流入し、過去最高の1バレル=147.3ドルをつけた。
その後は世界経済の落ち込みで急落したが、2009年以降は「アラブの春」に伴う中東情勢不安により上昇に転じている。