(『東京新聞2022年10月10日』から抜粋)
ドナルド・トランプ前大統領は、大量の公文書を持ち出して隠匿した疑いで、家宅捜索を受けた。
トランプは2021年1月の大統領職の退任時に、『大統領記録法』により国立公文書館に渡す義務のある公文書を、フロリダ州の自宅に持ち込んだ。
家宅捜索をしたFBIが挙げたトランプの犯罪容疑は、スパイ活動法違反、公文書の隠蔽や廃棄を禁じた連邦法違反、などである。
押収された文書は、1万件以上で、「最高機密」に分類される文書もあった。
他国の核兵器戦力に関する文書もあったという。
トランプが公文書を持ち出した理由としては、不都合な事実を闇に葬ろうとしたとか、カネのために文書を売ろうとしたとか、憶測されている。
トランプ自身は、この捜査は迫害事件だと言うばかりで、ずっと被害者を演じている。
公文書の隠蔽や破損で有罪になれば、公職に就けなくなる。
ただし訴追されても出馬は制限されない。
ドナルド・トランプについては、2021年1月に起きた連邦議会への襲撃事件への関与も疑われている。