(『週刊文春2023年7月27日号』から抜粋)
ハリウッドにて、2023年7月14日から俳優たちのストライキが始まった。
5月からストをしている全米脚本家組合との同時ストは、63年ぶりだ。
すでに映画・TV作品の8割の制作がストップしている。
映画俳優組合は、動画配信サービスにより加速した、低賃金化と労働環境の悪化を改善しようとしている。
テレビの時代は、再放送すると俳優にもロイヤリティが支払われた。
しかし動画配信では、再生回数が役者や脚本家への報酬に反映されていない。
ストの交渉相手は、ディズニーやNBCユニバーサルなどの制作会社である。
ディズニー社のボブ・アイガーCEOは、年収が38億円だ。
だが、多くの俳優や脚本家は健康保険に加入できない生活をしている。
AI(人工知能)が進化した結果、モーションキャプチャーした役者の顔や声を自由に動かせるようになった。
俳優に対して、1日分のギャラでモーションキャプチャーして、肖像権は制作会社が保有し、俳優の同意なく再利用もできるという契約が提示された。
このことに俳優たちに危機感を持っている。
63年前の大ストライキでは、映画がテレビで再放送される際の二次利用料や、年金制度を勝ち取っている。
今回は、待遇改善とAI利用の制限を要求している。
(2024年6月16日に作成)