(以下は『週刊文春 2023年10月5日号』から抜粋)
オハイオ州の山中に、アーミッシュの住む地がある。
アーミッシュとは、17世紀の生き方を続けるキリスト教プロテスタント派の人々だ。
彼らの祖先は、キリスト教カトリック派の弾圧から逃れてアメリカに移住した。いわば宗教難民だった。
アメリカには今、38万人のアーミッシュがいて、そのうち8万人がオハイオ州にいる。
アーミッシュは14歳まで学校に通うが、理科も社会も学ばず、本は聖書か農業の本しか読まない。
ラジオもテレビも禁止で、これらは余計な知識が入り神をうやまわなくなるとして避けら れている。
皆が大学に行かないから、医者はいない。病気やケガは神の決めた運命とあきらめる。
アーミッシュには厳しいルールがあり、服装は皆が同じである。
既婚の男性は、もみあげと顎髭を伸ばさないといけない。ただし鼻の下の髭は剃る。
写真をとることや、化粧することは禁じられている。
アーミッシュの家庭は、電気もガスも水道も使わない。水は井戸を使う。
アーミッシュには、教会はない。
カトリック派のような教会と神父に権力を持たせる体制を、間違いと考えている。
私は現在のアーミッシュの暮らしぶりを知りたくて、テレビ番組の取材としてオハイオ州のアーミッシュ・カントリーを訪れた。
すると電気生活を否定するはずなのに、自転車のほとんどが電気自転車である。
家の屋根にはソーラーパネルがあり、それで電気をつくっていた。
(以下は『週刊文春 2023年10月12日号』から抜粋)
私が取材したとき、オハイオ州のアーミッシュ・カントリーでは、スマホ機能のない携帯電話も使われていた。
町に電線は通っていないが、自家発電は許されていた。
工場ではコンピュータも使われている。
ソーラーパネルでの電力確保も行われている。
何が禁止されるかは、それぞれのアーミュシュの教会が決めている。
アーミッシュは、25家族くらいのグループでまとまり、1つの教会を形成して、規律は教会での協議で決めている。
だからグループごとにルールはまちまちだ。