経済は破綻しており、食糧難に陥っている
経済が上手くいかない理由

(『北朝鮮の真実』重村智計著から抜粋)

北朝鮮の経済は「社会主義経済」で、土地などの個人所有は認められていない。

中央集権による、計画経済が行われてきた。

北朝鮮は、自らの経済システムを「主体経済」と呼ぶ。

かつてはソ連のコメコンに参加せず、他国に依存しない道を選んだ。

しかし、経済は破綻しており、食糧難に陥っている。

栄養不足の人は、760万人に上ると言われている。
これは、全人口の32%である。

2002年7月に「配給制度」が廃止され、大変なインフレになり、ヤミ市場が拡大した。

それまではずっと、すべてを政府が配給していた。

しかし実際は、1975年の食糧難以降は、事実上は配給が止まっていた。

2009年には、通貨を百分の一に切り下げるデノミを実施したが、大失敗した。

商品の質を問わずに、生産目標量だけを政府が押し付けたために、欠陥商品が続出した。

労働者は「思想を優先される」ので、有能でも思想が悪いと見なされると追放され、能力が低くても思想が堅固な者が大切にされる。

軍隊には100万人おり、若者は10年もの長期間も徴兵されるために、青年労働者のほとんどが軍に取られてしまう。

このため、産業が停滞してしまう。

経済再建のためには、軍の削減が必要である。
ところが、軍がこれに応じない。

北朝鮮で経済改革を行おうとする者は、危険視されて収容所に入れられてしまう。

「改革」という用語はタブーになっていて、使うと逮捕される。

それは、「経済改革をすると体制が崩壊する」と、上層部が判断しているからである。


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