日朝首脳会談の真実⑤ 日朝による平壌宣言
約束を交わすが、両国共に約束を破る

(『北朝鮮の真実』重村智計著から抜粋)

日朝首脳会談の後に、日朝は『日朝の平壌宣言』を発表した。

ここでは、日本は「国交の正常化」と「経済支援金の拠出」を約束した。

拉致問題と核開発については、約束は無い。

この宣言は、「小泉首相の意向である」として、田中均アジア局長が文書を作成して押し切ったという。

北朝鮮側は、「ミサイル発射の実験を行わないこと」を約束した。

ところが、発射実験をその後にも行った。

核問題については、「国際合意を守ること」を確認した。

しかし、これも守られていない。

一方で日本も、「国交正常化」と「経済支援金の拠出」の約束を守らなかった。

両方が違反をしているのに、なぜ平壌宣言は破棄されないのか。

北朝鮮は、破棄をすると宣言にサインした金正日が失策をした事になるので、しないのである。

日本は、「(日韓併合時代の)財産の請求権(賠償金)」の問題を、韓国の時のように「経済協力資金(支援金)」で決着した。

これを破棄して、もう一度交渉するのが嫌なのである。

○村本尚立のコメント

こうした裏の事情を知ると、「外交になっていない」と感じます。

両国が単なる私欲で行動しているので、上手く行くはずがなかったと思います。

(『そうだったのか! 現代史2』から抜粋)

日朝平壌宣言では、日本は36年間にわたって朝鮮を植民地支配した事を謝罪した。

北朝鮮は、日本人の拉致を認めて謝罪した。

お互いに謝罪した上で、国交正常化を目指すことに合意したのである。

ところが、「日本人を拉致し、その多くは北朝鮮ですでに死亡した」との発表に、日本国内で反発が強まった。

また、拉致についての謝罪が盛り込まれていない事も、日本では批判が出た。

北朝鮮側も、拉致に怒る日本の態度に反発した。

こうして、その後に交渉は暗礁に乗り上げたのである。

(2014.3.6.)


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