現在は金日成主義と先軍政治を掲げている
北朝鮮の最高指導部・国防委員会

(『北朝鮮の真実』重村智計著から抜粋)

北朝鮮は社会主義国で、党が指導する体制である。

かつては、朝鮮労働党が全ての権限を握っていた。

ところが、党大会は1980年以降は開かれておらず、党の政治局の会議も2011年まで30年間も開かれなかった。

その一方で、政府機関の「国防委員会」が権限を拡大した。

2009年の憲法の改定と、10年の党規約の改めでは、国防委員会が権限を保有しているように読める。

1998年の憲法の改定では、マルクス・レーニン主義を捨てて、「金日成主義」を掲げた。

2010年の党規約では、「先軍政治」を基本の統治方式と規定して、主体思想から変更した。

北朝鮮は、1972年の憲法の改定で「国家主席」を創設して、金日成・首相が就任した。

しかし、1998年の憲法の改定では、主席制が廃止された。

故金日成を「永遠の主席」としたためである。

1998年と2009年の憲法改定で、「国防委員会」が国家元首(国の最高指導者)となった。

このため、総書記のポストを公式には「委員長」と呼ぶ。

日朝首脳会談でも、金正日は「国防委員会の委員長」の肩書きを使った。

北朝鮮は、党が指導する体制から、国防委員会が指導する体制に変化している。

以前の党規約では、「人民軍は党の軍隊」とされていた。
しかし2010年の規約改定で、「人民軍は首領(故金日成)の軍隊」となった。

軍は、国防委員会の指導下に入ったのである。

国防委員会のメンバーは、2011年時点では、次の11人である。

金正日(委員長)、金永春、李勇武、呉克烈、張成沢、全乗コウ、白世鳳、朱相成、禹東則、朱奎昌、金正覚

(2013.8.20.)


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