(『北朝鮮の真実』重村智計著から抜粋)
日本は、朝鮮戦争が終わった後に、西側諸国の中で最初に北朝鮮と貿易を行った。
その経緯はこうである。
1955年1月に鳩山一郎・首相は、北朝鮮との経済関係の改善の意向を表明した。
これを受けて2月に、北朝鮮は、日本との国交正常化を求める声明を出した。
日本の貿易商社と北朝鮮の貿易公社が合意して、両国の貿易交流が始まった。
当初は中国を間に入れた貿易だったが、日朝の直接貿易が可能になった。
日朝の貿易は、最盛期の1980年には、貿易額は1259億円に達した。
貿易はしていたが、1965年5月20日に北朝鮮は、「日本は軍国主義だ」と批判を始めた。
これは、『日韓の基本条約』が締結されたためである。
70年8月には、社会党との共同声明で、「日韓の基本条約を破棄した上で、日朝の国交正常化をしよう」と求めた。
しかし、72年1月になると金日成は、「日朝の正常化のためには、日韓条約を破棄する必要はない」と述べた。
さらに73年2月2日には、「今さら日本に、過去の償いを求めようとは思わない」と語った。
しかし78年には態度を変えて、「日朝の国交正常化は、南北を統一した後だ」と述べた。
その後の北朝鮮は、『南北の統一』を目指す方針に変えた。
そして、日本人の拉致事件を起こした。
(2013.8.30.)