(『サウジアラビアを知るための65章』から抜粋)
サウジアラビアの国土は、日本の5倍の広さである。
サウジは、国土のほぼ全域が砂漠であり、降雨量は極端に少ない。
だが、それでも一部の植物は育つ。
ラクダは牧草となる植物を食べて、生息してきた。
そのラクダを家畜とし、牧草地へ導いて乳と肉を得る。
それがベドウィン(砂漠の遊牧民)の営みである。
だが近年は、過剰な家畜の飼育によって、環境悪化が進行している。
ベドウィンは、国土の75%を放牧地として活用してきた。
我々の眼には不毛の地でも、ラクダは草木を見つける。
熱く乾燥した夏は、5~9月まで続く。
涼しい冬は、1~2月だけである。
春から夏にかけては砂嵐が巻き起こり、夏の湿度は10%以下も珍しくない。
7~8月の平均気温は35度で、50度を超える場所もある。
冬の平均気温は8.5度で、マイナスになる事もある。
降雨量は、年によって違い、不規則である。
年間の降雨量は、15ミリ~257ミリまでと幅が広い。
アシール山岳地方は降雨量が多く、高度が高いので涼しく、古くから文明が栄えてきた。
現在は、大規模な避暑地になっている。
サウジ人は、砂漠に親しみを感じ、週末や休日には砂漠にくり出す習慣を持っている。
このため、外来植物の植樹による砂漠の緑化には、賛同していない。
サウジの砂漠は、何もしなくても雨さえ降れば緑化する。
植物たちは何年も雨を待ち、雨が降れば草木は生え、大地は緑で覆われる。
砂漠の民にとっては、雨は天からの恵みであり、人々は外で濡れながら歓喜するほどである。
彼らにとっては、「緑とは雨が生み出すもの」なのである。