(『サウジアラビアを知るための65章』から抜粋)
サウジの石油埋蔵量と採取量は、世界でも群を抜いている。
2005年時点の確認埋蔵量は2642億バレルで、世界の4分の1を占めている。
2005年の石油採取量は、日量1103万バレルで、世界の13%を占めた。
天然ガスの採取量でも、世界で屈指である。
油田の半分が東部に集中していて、世界最大の油田であるガワール油田(埋蔵量は700億バレル)もそこにある。
ガワール油田で採れる石油が、軽質油の代表となっているアラビアン・ライトである。
石油産業は、「探査」「採取」「輸送」「精製」「販売」の5つの部門に分かれている。
探査と採取を「上流部門」、残り3つを「下流部門」と言う。
サウジの石油採取は、第二次世界大戦後に本格化され、米国の石油メジャーたちがカルテルを結成して独占的に採取・販売をしていた。
1950~60年代の国際石油市場は、石油メジャーズの支配下にあ
った。
70年代に入ると、中東諸国の発言力が強まってきた。
72年の「リヤド協定」において、サウジはアラムコ(石油メジャーズの共同会社)に事業参加をした。
80年には、アラムコの権益の100%を取得した。
88年に旧アラムコとの補償交渉がまとまり、新たに国営石油会社の「サウジ・アラムコ」が設立された。
そして、現在に至っている。
近年は、上流部門はサウジ・アラムコ以外の操業を認めていない。
しかし、2001年5月にガス田開発の上流部門を、外資に開放した。
ところが、サウジ側と外資メジャー側の間に収益率をめぐって対立が生じ、交渉は決裂した。
結局は、欧州系メジャーと契約をした。