教育の現状
学歴社会であり、貧富による機会の格差が大きい

(『サウジアラビアを知るための65章』から抜粋)

サウジアラビアの近代教育制度は、ファハドが初代の教育大臣に就任した1953年からスタートした。

高等教育の拡充、女子教育の開始などを断行し、59年には第1回の教育5ヵ年計画が開始された。

6~14歳までの義務教育制度は、2004年に正式に決まった。

導入には保守系のイスラム勢力が反対していたが、ようやく実現した。

小学校への入学率は、現在でも70%と低い水準にある。

幼稚園から大学まで、公立の場合は授業料は無料である。

サウジの教育の特徴は、基本理念をイスラム教の教義に置き、イスラム思想に基づく愛国心や歴史を重点的に教えていることである。

他にも、サウード王家への忠誠も教えている。

一方で、理数系の授業の水準が低いことが、長年に渡って問題となっている。

イスラム教に関する必修科目が多いが、労働市場で必要とされる知的ニーズと合致していない事は、多くの知識人が指摘している。

サウジは学歴社会であり、博士課程学位の取得者数は、人口比で世界一とも言われる。

王族などは米国留学者が多く、米国の有名大学での学位取得は上級職への必須条件となっている。

裕福な家庭は、子供を私立学校に入れ、海外留学も行わせる。

貧しい家庭との格差は、大きい。


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