(『大衝突』池上彰著から抜粋)
サウジアラビアには『宗教警察』が存在し、国民がイスラム教ワッハーブ派の戒律を守っているかを監視している。
国内には3.5万ものモスクがあり、1日5回の礼拝は義務となっている。
祈りの時間には、すべての店が一時的に閉店する。
開店していた場合、宗教警察に摘発される。
宗教警察は街頭で服装をチェックし、女性の髪がはみ出していたり、足首が見えていたりすると、街頭で鞭打つ。
2002年3月に、女子高校で火災が発生した。
生徒と教師は逃げ出たが、全身を隠す黒いマントなどを身に付けていなかった。
それを見た宗教警察は、マントなどを取りに戻るように命令し、その結果15人の生徒が死亡した。
9.11事件の後、タリバンの特異な行為が注目を浴びた。
しかし、ああした行為はサウジでは日常行為である。
その一つの例が、『公開処刑』だ。
サウジでは、毎週金曜日に町の広場で、公開処刑が行われている。
盗みをした者は右手を切り落とされ、二度目になると左足を切断される。
1990年11月に、47人の女性達が、女性にも自動車の運転を認めるように要求するデモを行った。
「預言者ムハンマドの時代、女性達はラクダに乗って戦闘に参加していた。だから自動車を運転しても、教義に反しない。」というのが、彼女達の論理だった。
しかし、全員が直ちに逮捕された。