(以下は『大衝突』池上彰著 2010年11月刊行から抜粋)
サウジアラビアには『宗教警察』が存在し、国民がイスラム教ワッハーブ派の戒律を守っているかを監視している。
国内には3.5万ものモスクがあり、1日5回の礼拝は義務となっている。
祈りの時間には、すべての店が一時的に閉店する。
開店していた場合、宗教警察に摘発される。
宗教警察は街頭で服装をチェックし、女性の髪がはみ出していたり、足首が見えていたりすると、街頭で鞭打つ。
2002年3月に、女子高校で火災が発生した。
生徒と教師は逃げ出たが、全身を隠す黒いマントなどを身に付けていなかった。
それを見た宗教警察は、マントなどを取りに戻るように命令し、その結果15人の生徒が死亡した。
9.11事件の後、タリバンの特異な行為が注目を浴びた。
しかし、ああした行為はサウジでは日常行為である。
その一つの例が、『公開処刑』だ。
サウジでは毎週金曜日に町の広場で、公開処刑が行われている。
盗みをした者は右手を切り落とされ、二度目になると左足を切断される。
1990年11月に、47人の女性達が、女性にも自動車の運転を認めるように要求するデモを行った。
「預言者ムハンマドの時代、女性達はラクダに乗って戦闘に参加していた。だから自動車を運転しても、教義に反しない。」というのが、彼女達の論理だった。
しかし全員が直ちに逮捕された。
(以下はサイト『地球の記録 - アース・カタストロフ・レビュー』 2026年4月16日の記事から抜粋2026年5月9日に作成)
🔵サウジアラビアの死刑執行数は世界最多レベル
現在のサウジアラビアは、死刑執行数が世界最多の国のひとつ。
死刑執行数は中国が世界最多と思われるが、中国政府は公表していないので不明。
数値を発表している国では、サウジアラビアがほぼ世界最多。
サウジアラビアの国王は、サルマン・ビン・アブドゥルアジーズだが、この人が2015年に即位してから、サウジアラビアの死刑執行数は急激に増加した。
とはいえ、実際に政治を行っているのは国王ではなくムハンマド・ビン・サルマン皇太子であり、この皇太子の下での増加ともいえる。
この体制になってから、「死刑執行数が5倍に増加した」ことを、中東のミドル・イースト・アイ紙が2026年4月15日付で伝えている。
以下は、その報道(記事)の紹介である。
サウジアラビアは、サルマン国王が即位してからの11年間で、2000件の死刑を執行している。
サルマン国王が2015年に即位するまでの5年間は、年間の死刑執行数は平均71件だった。
それが現在は5倍に増加し、2025年には少なくとも356人が処刑され、その前年は345人だった。
人権団体「リプリーブ」のジード・バシウニ氏は、ミドル・イースト・アイ紙に以下のように語った。
「2017年から事実上の統治者となっているムハンマド・ビン・サルマン皇太子は、死刑を政治的支配の手段として利用しています。」
昨年執行された死刑のうち、大多数(232件)は麻薬関連の罪だった。
その他数件はテロ容疑で執行されたが、その中には曖昧なものもあった。
これらの処刑の多くは、国際法に違反している可能性がある。
国際法では、死刑は意図的な殺人を伴う「最も重大な犯罪」に対してのみ認められているからだ。
先週、シーア派の教徒2人が、テロ容疑で有罪判決を受け処刑された。
その1週間前には、実業家のサウド・アル・ファラジ氏が、2011年の反政府デモへの参加を理由に処刑された。
ファラジ氏は、長らく自身に対する容疑を否定し、拷問によって自白を強要されたと主張していた。
彼は尋問の合間に車椅子で刑務所内の病院に出入りさせられ、21ヶ月間も独房に監禁されていた。
彼は、2011年のアラブの春の時に、サウジアラビアにおける民主主義と改革を求めてデモに参加した、数百人の国民の一人だった。
サウジアラビアはここ数ヶ月、国際法に違反して、犯罪当時に未成年だった男性を処刑している。
犯罪時に18歳未満の者に対する死刑の適用は、サウジアラビアが署名国である国連児童の権利条約を含む国際人権法によって禁止されている。
2020年にサウジアラビア当局は、少年犯罪者に対する死刑執行を停止する国王令が発布されたと発表した。
しかしその声明以降も、未成年の犯罪者に対する処刑が複数行われている。
人権団体「リプリーブ」のバシウニ氏は言う。
「少なくとも17人の未成年被告人を含む、2000人の死刑執行は、恐ろしい節目であり、世界が目を背けている限り、この数字は増え続けるでしょう。」