(『サウジアラビアを知るための65章』から抜粋)
アラビア世界では、家族の絆が大切にされる。
家族の延長上に親族があり、その先には部族がある。
家族や親族の中では、年長者の力が絶対である。
結婚や就職などの決定は、両親に委ねられている。
サウジアラビアは、小学校から男女は別々の学校に通うため、結婚相手を自分で探すのは、ほぼ不可能である。
結婚の相手探しは、見合いしかない。
イスラームの結婚は、男性から女性に支払う「マハル」という結納金の額を決める事と、それ以外の条件を決めた結婚契約書を作成して証人が署名をする事で、完結する。
そこでは花嫁は同席せず、花嫁の父親が後見人として契約を行う。
このマハルが高額であるため、割安になる遠くの血縁と結婚するケースも多い。
家庭内では、父よりも母の力が強い傾向がある。
預言者ムハンマドは、「天国は母親の足元にある」「ジハードは母親の許可が無ければ参加してはいけない」とまで言っている。
コーランでは、母親に優しくするように命じている。
この教えにより、母親は絶大な権力を家庭内で持つ。
サウジでは、石油で裕福なために、家事は外国人の家政婦に任せている家庭が多い。
妻たちは、家事から解放されている。
妻は1人では外出できないため、外出時には夫か保護者の同伴を必要とする。
男性は、女性の買い物に付き合わなければならない。
サウジはシャリーア(イスラム法)を建国の基礎にしたため、男女を完全に分ける社会となっている。
女性は、人目に晒される場所には行けない。
お店の店員は、すべて男性である。
女性は外出しても、黒いベールで顔を覆って素顔を見せてはいけない。
女性は、女性のみの職場で働く。
男性は、男同士で集まる「マジュリス(広間)」と呼ばれる集会に参加する。
各家庭に、広間が用意されている。
男たちは広間に集まり、食事をしたり話し合ったりする。
女性たちは、女性だけで集まり、食事をしたり世間話に興じる。
このような男女の住み分けは、結婚式の披露宴に顕著である。
男性と女性は別々に会場に入り、花嫁が男性客の会場に現れることはない。