(『日本の課題40』から抜粋)
IMFは、「International monetary fond」の略称で、日本語名は「国際通貨基金」である。
1946年に創設されて、翌年には国連の専門機関となった。
1930年代に、世界は大不況となり、各国は通貨を切り下げたり輸入規制をした。
しかし、そうした措置がかえって世界経済を悪化させる事につながった。
その教訓から創られたのが、IMFである。
IMFの目的は、『為替相場の安定をはかって、国際金融の秩序を保つこと』『為替制限を撤廃することで、貿易の拡大をはかること』である。
最初の加盟国は29カ国だったが、現在では187カ国となり、ほとんどの国が加盟している。
日本が加盟したのは、1952年である。
IMFが行っている事は、「政策監視」「技術援助」「金融支援」の3つだ。
「政策監視」は、経済や金融の状態を調査して、政策の助言をする。
「技術援助」は、コンサルティング業務である。
「金融支援」は、財政困難に陥っている国に融資を行うもので、これがIMFの主要な業務である。
IMFの融資には、色々な条件が付けられる。
『構造調整プログラム』と言われるもので、「財政を切り詰めること(財政の健全化)」「産業の自由化(民営化)」「非効率な産業の淘汰」が要求される。
このプログラムは、表向きは「弱体化した経済を立て直して、外貨不足を解消するため」という事になっている。
しかし実体は、「アメリカの資本を参入しやすくするために、国内市場を開放する」ための改変である。
というのも、IMFの中枢はアメリカが押さえているからだ。
IMFの中枢である「総務会」は、出資金額などによって投票権の割合が決まっている。
そして、アメリカは投票権の16.5%を握っている。
総務会では、85%の承認がなければ議案が可決しない事になっており、16.5%の投票権を持っているアメリカが「NO」と言えば否決されてしまう。
IMFは、実際には『アメリカの利益を最優先にする組織』なのである。
○村本のコメント
IMFを改革して、アメリカ以外の国の意見も平等に通るようにする必要があります。
普通は多数決で決まるはずなのに、85%の承認がないと可決しないというのは、明らかにおかしいですよ。
日本の選挙では1票の格差が問題になっていますが、IMFにも格差があるのですね。
(2013年8月3日に作成)