水力発電の基本

(『クリーン発電がよくわかる本』から)

水力発電とは、川の水を落下させて、その水の勢いで水車を回して発電する方式です。

水力発電は、大きく2つに分けられます。

一つは、ダムを造って川の水をせき止めて、水を貯蔵させておく「大水力発電」です。

もう一つは、ダムを造らずに、川の水をそのまま発電所に流す「小水力発電」です。

小水力発電は、発電量が小さいですが、全国の未利用地点が2500ヶ所と多く、これらの地点に設置すれば、大水力発電よりも発電量は多くなると言われています。

大水力発電の問題点は、ダムを造るため、生態系への影響です。
また、ダムの建設費が巨額な事も、問題点です。

小水力発電はコストが安く、設置するのは許可を得れば誰でもできます。
エネルギーの変換効率が非常に高く、耐用年数も長いです。

(『地図で読む日本の再生可能エネルギー』から)

日本では、水力発電は明治時代から始まっていて、100年以上の歴史と実績があります。

小水力発電の量では、1位は長野県、2位は富山県、3位は新潟県です。

1万KW以上の発電設備を持つのは、40道府県に上っており、国内に広く小水力発電が普及しています。

小水力発電では、水利権(水を利用する権利)の調整が問題になってきました。

そこで国土交通省は、2013年に河川法を改正して、登録をすれば簡単に小水力発電をできるようにする予定です。

小水力発電には、「河川から取水して圧力水管で落とす方法」と、「農業用水路を活用する方法」があります。

都市部では、「上下水道を活用すること」もできます。

発電量は、水の流量と落差によって決まります。

100KWを超す発電のためには、高い水圧に耐えられる圧力水管を敷設して、そこに水を落とします。

この圧力管の寿命は100年で、長期で見ればコストは低いです。

農業用水路を使った発電では、水に交じる落ち葉やゴミの処理が重要です。

山梨県の村山六ヵ堰の小水力発電所では、取水口に自動でゴミを取り除く装置を付けて、90%を超える高い稼働率を達成しています。

上下水道を用いた発電では、千葉県の幕張給水所の例を挙げましょう。

幕張給水所では、一般家庭の水圧を調整するために、減圧器を設置していました。
この減圧器の所に、発電所を設置したのです。

小水力発電は、昼夜を問わず発電でき、稼働率は70%と非常に高いです。

耐用年数も長いので、発電コストは割安になります。(8~25円/KWh)

小水力発電のポテンシャルは、1位は北海道、2位は新潟県、3位は福島県、4位は岐阜県です。

○村本のコメント

日本は水資源が豊富なので、水力発電に適しています。

小水力発電は、設置が簡単でコストも安く、寿命も長いので、各自治体はどんどん設置していって下さい。
小水力発電なら、環境破壊もありません。

上下水道を使う発電というのは、初めて聞きました。
考えてみれば、膨大な水が流れているのですから、発電できそうですね。

上下水道から発電できれば、川の無いエリアでも発電できるし、人口の多いエリアでは水量が多いので期待できそうです。

(2012.9.28.に作成)


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