(『電力供給が一番わかる』から)
2010年に欧州では、883MWの洋上風力発電所が、新たに稼動しました。
欧州で建設中の洋上風力発電所は、総容量が3000MWです。
計画段階のものでは、19000MWにも上ります。
これとは別に、英国では40000MW(40GW)の超大型計画が進行中です。
現在は、陸上風力発電は一基が2~4MWの発電量です。
それに対して洋上風力発電は、一基で7MWの発電ができるタイプもあり、これはブレードの直径が164mもあります。
欧州全体の陸上の風力発電は、すでに84GW(原発84基分)に達しており、陸上の適地は少なくなってきています。
欧州では、送電網が拡充され続けていて、風力発電を送電網に繋いでも、出力変動の問題が発生しません。
海底送電網も整備されつつあり、これによって洋上風力発電が展開しやすい環境となっています。
洋上風力発電は、陸上風力発電に比べて1.5~2倍のコストがかかります。
そのため、電力の買い取り価格を陸上よりも高くしないと、採算が取れません。
洋上風力発電で一般的な「着床式」は、日本の海には適さないと言われています。
日本の海は、すぐに深くなるからです。
日本政府は2011年9月に、福島県沖で300MWの洋上風力発電を、「浮体式」で建設する計画を発表しました。
(『地図で読む日本の再生可能エネルギー』から)
洋上では、風が一定の方向から安定して吹きます。
さらに、住宅から距離を持てるので、騒音を心配しなくていいため大型化できます。
陸上では大型でも2000kW級ですが、洋上なら5000kW(5MW)級も計画できます。
洋上の場合、水深が60m以上の所では「浮体式」が適していると見られていて、その実証実験が長崎県の五島列島で進められています。
○村本のコメント
しばらく前に新聞で、「北海道で風力発電の計画が次々と生まれているが、北電の送電網が対応できない状況なので、申請許可を制限している」という記事を見ました。
電力会社が早急に行わなければならない事は、『再生可能エネルギーに対応できる送電網を整備する』ことです。
欧州の電力事情は、羨ましいかぎりです。