(『地図で読む日本の再生可能エネルギー』から抜粋)
地熱発電のポテンシャルは、1位は北海道で512万KW、2位は富山県の120万KW、3位は秋田県の81万KWである。
都道府県のランキング・トップ10のうち、6つでは地熱発電所が無い。開発が待たれる。
(※この本では、地熱発電の日本全体のポテンシャルが1364万KWとされていて、他の本よりも少ない。
ポテンシャルについては、本によってかなり数字にばらつきがあり、まだ調査が進んでいないのを感じる。)
日本における地熱発電は、1972年の法制により、国立・国定公園ではボーリング調査も出来なかった。
しかし2012年3月に規制が緩和されて、各地で開発が検討されるようになった。
開発には、温泉地との調整も必要である。
地熱発電の井戸は地下1000m~3000mに達し、温泉源となる層よりも深い層を使用する。
そのため、間に水を通さない層があれば、温泉源への影響は少ないと考えられる。
(東京新聞 2022年1月22日から抜粋)
温泉の出る熊本県小国町の「わいた地区」は、住民が主体となって地熱発電所を運営している。
地熱発電は、地元住民の反対で計画が頓挫する事も多い。
わいた地区のケースは、住民が参加している事が注目されている。
わいた地区では、電源開発(Jパワー)が2万キロワットの大型の地熱発電所を造る計画を立てたが、住民の反対で2002年に廃された。
同地区では、高齢化への危機感が高まり、地元の26世帯が出資して、「わいた会」を2011年に設立した。
わいた会は、中央電力のグループ会社に地熱発電所の建設と運営を委託し、2015年から発電所の運転が始まった。
わいた地区の地熱発電所は、出力は2千キロワットで、旅館などの不安を抑えるため規模を小さくした。
湯量に影響が出た場合は、温泉への供給を優先することを約束することで、慎重だった世帯も参加を決めた。
発電したものは九州電力に売っていて、委託費を差し引いて、わいた会は年に1.2億円を受け取っている。
全世帯が参加する会議を毎月開いて、収益を分配しつつ、観光事業への投資もしている。
この成功は注目され、他の自治体から見学者が来るという。
なお日本政府は、エネルギー基本計画で2030年までに地熱発電所を倍増する目標を掲げている。