「もったいない」の精神を思い出そう
食用油のリサイクル

(以下は『地球環境にやさしくなれる本』から抜粋)

「もったいない」という日本語は、ノーベル平和賞を受賞したワンガリー・マータイさんが来日時に知り、国際会議などで紹介して世界に広まりました。

昔の日本人は、「もったいない」と考える習慣が身に付いており、「物を粗末にはできない」と誰もが思っていました。

大量生産・大量消費・大量廃棄という経済優先の社会になり、私たちは「もったいない」の精神を忘れています。

もう一度、昔の人たちが大切にしていた「もったいない」の文化を見直しましょう。

(以下は『東京新聞 2017年4月17日』から抜粋)

環境への影響が少ない使用済み天ぷら油などの廃食油を燃料とする発電が、群馬や沖縄で始まっている。

一般家庭や飲食店から回収した油を使う発電だ。

群馬県藤岡市の国道沿いのガソリンスタンド跡。
2016年5月に廃食油による発電を始めた、再生資源業「アーブ」の藤岡バイオマス発電所(出力145キロワット)で、須藤浩之・取締役事業本部長が話す。

発電量は年間約125万キロワット時で、東京電力管内の一般的な家庭約400世帯分である。

24時間運転し、東電に売電している。

燃料は、群馬、埼玉、栃木県の住民や事業所から回収した使用済みの植物油だ。

一般家庭からはペットボトルで、工場や飲食店からは一斗缶などで毎月50トンほど集め、水分などを除去して発電機で燃やす。

排出される二酸化炭素(CO)は植物由来のためゼロとみなされるうえ、廃油で回収先の排水設備を傷めず、河川の水質悪化も減らせる。

「アーブ」社は廃食油から、軽油代わりに使えるバイオディーゼル燃料(BDF)を作り、自治体のゴミ収集車などに供給したが、民間にはBDF対応車の普及が進まなかった。

廃食油の回収には、環境NPOや中学校の生徒会、社会福祉協議会など約50団体が協力しており、 「事業をやめるわけにはいかなかった」と町田秀子・社長は言う。

そこで20年間同じ価格で電気を売れる再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度に注目した。
そして経済産業省の認定を得て発電所を開設した。

「まだ廃食油を回収せずに燃やしている市町村もある。さらにリサイクルを呼び掛けたい」と、町田氏は話す。

資源エネルギー庁によると、廃食油発電の固定価格買い取り制度の認定例はほとんどない。

同庁の担当者は、「廃食油を集めるコストがかかる上に、発電規模が大きくないため普及していない。欧州のような植物油を使える発電機の開発も進んでいなかったが、ここ1~2年で日本もそうしたメーカーが出てきた」と説明する。

2016年6月に、沖縄県沖縄市でも、廃食油の回収業をする「大幸産業」の沖縄バイオマス発電所(出力320キロワット)が運転を始めた。

飲食店や給食センターから廃食油を回収し、県内の一般家庭約800世帯分である年間約280万キロワット時を発電している。

「固定価格買い取り制度で経営も安定している」と大城章実・所長は言う。

大城氏は、「沖縄では廃食油の多くが船で九州に送られている。沖縄でリサイクルして使いたい。今後は一般家庭からも集めたい」と話す。

(以下は『東京新聞 2023年3月21日』から抜粋)

中小企業のG&Fサービスは、東京の都市で居酒屋などから、使用済みの食用油を回収し、それをリサイクル油にして販売している。

G&Fサービスは、大東宏・社長が2003年に創業した。

都内で少量から無料回収するビジネスを始めて、小規模な居酒屋を中心に回収網を広げた。

道の空いている深夜に車で回収している。

2018年には埼玉県に回収油の中間処理施設を設けて、リサイクル油の販売も始めた。

現在では、都内の大手コンビニの半数超からも回収している。

リサイクル油のほとんどは、韓国とシンガポールに輸出し、バイオディーゼルなどの原料となっている。

G&Fサービスは、今後は家庭からの回収も目指すという。

(2023年10月1日に作成
2025年12月8日に加筆)


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