ヘレニズム思想とギリシャ文化を取り入れる
イスラム教は都市化する

(『イスラム・パワー』松村清二郎著から抜粋)

ヘレニズム思想(ギリシャ思想)は、イスラム文化の主流となっていった。

ウマイヤ朝の宮廷で行われた、イスラム教徒とキリスト教徒の討論は、イスラム思想家に「合理的議論」と「ヘレニズム的な用語形式」を伝授した。

ギリシャ文化は、イスラム文明の興隆に大きな影響を与えた。

ウマイヤ朝の合理主義的な進取の気性は、後継のアッバース朝にも受け継がれた。

アッバース朝のカリフたちは、ギリシャ古典の翻訳を奨励した。

830年にバグダードに設立された「英知の館」は、当時世界最大の学問所であった。

こうした流れにより、イスラム教は「都市化」していった。

特に主流派であるスンニ派は、国家権力と結びつき体制に順応する都市宗教であり、砂漠的精神を失った。

単純化して言えば、スンニ派は『ビザンツ化したイスラム』である。

アッバース朝は、ササン朝ペルシャの遺産も継承しており、ペルシャ文明の影響も受けた。

これが、ぺルシャ(イランなど)にイスラム教が「シーア派」として定着する事に繋がったと思われる。

(2013年3月17日に作成)


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