ジョージ・ブッシュは若い頃CIAで働いていた①

(『大がかりな嘘』マーク・レーン著から抜粋)

現在のアメリカ大統領のジョージ・ブッシュ(父ブッシュ)は、レーガン政権時代にオクトーバー・サプライズ、イラン・コントラ事件に関わったが、1960年代初めにはCIAで活動していた。

(※この本が出版されたのは1992年です)

私が1970年代半ばに、政府を相手取って情報公開法の規定を実行するよう求める裁判を起こすと、政府は極秘のスタンプが押された文書を吐き出すよう命じられた。

そして1977年から78年に、FBIだけでも10万ページに上る文書を公開した。

こうして公開された文書の中に、ジョージ・ブッシュの名前があったのである。

ジョゼフ・マクブライドは、FBIの文書を調査し、ネーション誌に2つの論文(※これは『ジョージ・ブッシュは若い頃CIAで働いていた②』で取り上げています)を発表して、ブッシュとCIAの関係を示してくれた。

これは重要な貢献である。
というのも、ブッシュは公式にはCIAと無関係の経歴で、1976年にCIA長官に任命された際には秘密任務の経験がないことが不安視されたからだ。

マクブライドは、1963年11月29日付のフーバーFBI長官が国務省に宛てたメモを見つけた。

メモは『ケネディ大統領暗殺 63年11月22日』との表題である。

内容は、オズワルドが警察の拘束下にあった11月23日に、「FBIのフォーサイス特別捜査官と国防情報局(DIA)のウィリアム・エドワーズ大尉が、暗殺に関連して問題となりうる事柄についてCIAのジョージ・ブッシュ氏に説明・報告した」というものだ。

マクブライドは、「情報当局筋から『ブッシュは石油ビジネスを秘密工作の隠れ蓑にして、1960年か61年にCIAのために働き始めた』と聞いた」と書いている。

ブッシュはこの話を否定し、CIAも「FBIとDIAから報告をうけたのは、ジョージ・ウィリアム・ブッシュであり、ジョージ・ハーバート・ウォーカー・ブュシュではない」と釈明した。

だがマクブライドは、CIAの下級調査員だったジョージ・ウィリアム・ブュシュを探し出し、「FBIからもDIAからも報告を受けたことはない」との証言を得た。

そもそもジョージ・ハーバート・ウォーカー・ブュシュの経歴は、テキサス州に移住し、そこでジョン・オーバーベイ、続いてヒュー・リードケ、ビル・リードケとビジネス関係を結んだのがスタートだった。

1953年に彼らは「サパータ石油会社」を設立し、ブュシュは副社長になった。

ブッシュはエール大学を卒業後、伯父ハービー・ウォーカーらの援助で「ブッシュ・オーバーベイ社」を設立し、それがリードケ一族と合併して「サパータ石油会社」になったのだ。

その後ブッシュは、サパータの持ち株を売却し、妻のバーバラとヒューストンで「サパータ・オフショア社」を設立し、1954~64年までCEOを務めた。

この時期のブッシュの活動は、あまり明らかになっていない。

リー・オズワルドは、ソ連から帰国後に、テキサス在住のジョージ・ド・モーレンシルトという石油ビジネスマンと親しくなった。

モーレンシルトは下院の暗殺特別委員会の尋問を受ける直前に銃殺されたが、発見された彼の電話帳には「ブッシュ・ジョージ・H・W(パピー) 1412 西オハイオあるいはサパータ石油、ミッドランド」との記入があった。

ジョージ・ブッシュが、テキサス州でサパータ・オフショア社を経営していた1961年に、CIAはピッグズ湾への侵攻作戦を計画・実行した。

このキューバ侵攻作戦にCIAが付けた暗号名は、「サパータ作戦」だった。

フレッチャー・プラウティ大佐は、この侵攻作戦の武器弾薬責任者だった。

彼は当時、「人や武器を運ぶのに適した米海軍の艦船2隻を見つけろ」と命令を受けたが、こう証言する。

「CIAは、侵攻から72時間以内に勝利すると話していた。

キューバ亡命人の指導者が新政府を樹立して米州機構(OAS)に支援を訴えるため、マイアミに集められていた。

OASは予め連絡を受けており、直ちに行動できる用意をしていた。

亡命者の政府をOASが承認し次第、米海兵隊が電撃的にキューバ上陸し、カストロは殺されるはずだった。」

マイケル・ベシュロスの『危機の年』によると、CIAから支援されているマフィアのサム・ジアンカーナらが、猛毒のボツリヌス菌を入れた丸薬でカストロを暗殺する手筈になっていた。

プラウティは、米海軍の繋留所で2隻の艦船を確保した。

その2隻は海軍基地で船体の色を、米海軍のものから他の色に塗り替えられた。

船体には新しい船名が塗り上げられたが、それは「バーバラ」と「ヒューストン」だった。

(2019年1月25~26日に作成)


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